読者が主人公に感情移入できないのは動機が曖昧だから?! 設定決めの5W1H ~Why②~(ノベルゲーム制作講座26)
動機=主人公が物語に関わる直接の要因、きっかけを決めよう。
動機がハッキリしていると、ユーザーが感情移入できる。
動機と企画の主旨を関連づけると、作品としてのブレがなくなる。
前回の講座では、
自分で作った設定に『Why?』と投げかけることで
設定の穴や矛盾点が整理されると説明しました。
今回は、もうひとつの『Why?』
主人公の動機付けについて説明します。
■目的や目標を定めて、『Why?』に答えよう
動機とは、
主人公が物語に関わることになった直接の要因、きっかけです。
行動原理や理由が曖昧だと、
主人公が何をしたいのか(何をさせたいのか)
わからずユーザーは感情移入できません。
動機としてわかりやすいのが、
そのキャラが抱いている夢や目標です。
モテモテになりたい、彼女が欲しい
海賊王になりたい、大金持ちになりたい……などですね。
夢の内容は、ストーリーの中核やオチに深く関わります。
何故、主人公はその夢を抱くに至ったのでしょうか?
A:兄貴分との約束があるから海賊王を目指す
B:贅沢をしたいから海賊王を目指す
では、夢を実現するための過程や最終目標が異なります。
Aくんは正義のヒーローたり得ますが、Bくんは小物臭がプンプンします。
Bくんの夢についてさらに突き詰めていくと
A:子供の頃にひもじい想いをしたから、その反動で贅沢を求める
B:有力な海賊の息子。贅沢な暮らしを維持するため王座を求める。
では内面描写も変わってくるでしょう。
Aパターンなら、
不遇な人生を歩んできた海賊の成り上がり(下克上)物語になりそうです。
Bパターンなら、主人公が倒すべき敵役として登場させた方が
配役としては適しているかもしれません。
登場人物の動機付けのさじ加減ひとつで、作品の魅力や深さが変わります。
キャラの設定やテーマに合わせて、動機を決めてください。
■『喪失』という動機付け
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内勤ライターとして、美少女ゲーム業界で15年以上働いてきた経験と、そこで得たノウハウを文章にまとめています。ゲーム業界特有の謎規則や技術解説、仕事に取り組む際の心構えなどもご紹介。応援してくださると定期的に記事が更新されます(人間だもの)