見出し画像

スケジュールを立てる時は、作業平均値を出してアクシデントに備えよう(ノベルゲーム制作講座43 豆知識編①)

己の力を過信するな。作業量の平均値を割り出そう
スケジュールには余裕を持たせて、アクシデントに備える

ノベルゲーム制作講座もついに最終章。

この章では、空下が個人的に実践している
スケジュールの管理や、体調管理、やる気管理などについて
お伝えしたいと思います。

当然、効果には個人差があります。
書かれている内容を実践しても、締め切りが守れるとは限りません。
「そういう考えもあるのか」「珍獣の生態レポート」程度に
頭の片隅に置いていただければ幸いです。

※この記事は全文をご覧いただけます。

■一日の作業量を割り出そう

画像9

正確な作業スケジュールを立てるためにも、
ご自身の一日の平均作業量を計りましょう。


方法はとてもシンプルです。

その日に書いたテキスト量(原稿用紙の枚数)
をメモしていくだけ。


まずは一ヶ月分の作業メモを取りましょう。

気分が乗らない日などは容量が少なくなりますが
そういうものなので気にしないでください。

逆にいつもより調子がいい日は、
ノルマを前倒しでこなしているかと思います。


■己を過信するな。平均値が大事

画像1

気をつけたいのは、
調子が良い日を自分の実力だと勘違いすること。

一ヶ月統計から割り出した平均作業量が、
あなたの本当の実力です。

たとえ一日30KB書いたとしても、
翌日10KBしか進まないのであれば
平均値は20KBになります。


画像8

スケジュールを立てるときは、
「平均より若干少ない値」を基準にします。

人生は予期せぬアクシデントの連続。
平均より少なく見積もっておくと
いざというときにリカバリーが効きます。

平均が20KBなら
18KBを基準値としましょう。
これが一日の作業ノルマです。

その日の作業が18KBに達しなければ、
「今日は作業が遅れている。明日リカバリーしよう」
と細かく軌道修正できます。


■どうして日々の作業量をメモるの?

画像2

平均値を出すだけなら、
一ヶ月分の作業をまとめて計算すれば事足ります。

毎日の作業量をメモるのは、
上記した小まめな軌道修正を図るためです。


シナリオ作成は半年以上に亘る作業。
不安を抱えると、シナリオの執筆は滞りがちに。
ゴールが見えていないと、途中で挫折しがちです。

毎日の作業をメモり、スケジュールを自己管理することで
「この日までノルマをこなせば、二週間後には完成する」と
作業全体を俯瞰的に眺めることが可能です。


画像3

目的地が見えていれば、船をこぐスピードや方向の調整もしやすく、
疲れた時には安心して休めます。

「月末は忘年会で忙しいから、月頭に作業を稼いでおくか」
という感じで、後の予定に合わせて早い段階で対策を講じられます。


画像4

「締め切り前日に50KB書いて間に合わせた!」
というのは武勇伝でも何でもなく、
ズボラな人の言い訳なので聞き流しましょう。

締め切りに間に合わせているだけ偉いとは思いますが、
真似をすると身体と精神が壊れます。
当然ですが、ディレクターの印象も悪くなりますよ?


■スケジュールには余裕をもたせる

画像5

「平均20KBの作業量なら、少なく見積もって18KBにしろ」
と書きましたが、スケジュールを立てる際は
「バッファ」を予め組み込んでおきましょう。

スケジュール上の「ゆとり」をもたせることで、
作業遅れやアクシデントに対応可能です。


■バッファとは?

画像6

元々の意味は、緩衝液。
ビジネス用語としては、余裕や猶予といった意味で使われます。

もしもに備えて在庫の「余裕」を持たせたり、
コストを多く見積もること。
時間的な「ゆとり」の意味でも使われます。


「シナリオ執筆に丸々一ヶ月かかるから、
 余裕を持って一ヶ月と一週間を作業期間に当てよう」

とすれば、急な出張が入って作業が遅れた際も
「バッファの1週間」があれば、遅れを取り戻せます。

スケジュール通りに進めば、「+1週間」で本文を何度でも見直せます。
リテイクの場合も、作業スケジュール内で何とかできそうです。
無事に納品を済ませた場合は、思い切って休暇に当てるのもいいですね。


画像7

人間、ご褒美がないとやる気が出ません。

フリーの方は休憩時間も自分で管理する必要があります。
余裕のあるスケジュールを立てて、上手に自分を甘やかしましょう。

もっとも、スケジュール通りに進むことはまずあり得ないので、
バッファは簡単に食い潰れますのでお覚悟を。


■まとめ

己の力を過信するな。作業量の平均値を割り出そう
スケジュールには余裕を持たせて、アクシデントに備える


内勤ライターとして、美少女ゲーム業界で15年以上働いてきた経験と、そこで得たノウハウを文章にまとめています。ゲーム業界特有の謎規則や技術解説、仕事に取り組む際の心構えなどもご紹介。応援してくださると定期的に記事が更新されます(人間だもの)