ノベルゲームテキストのサンプルを読みながら、「ひらき」を学んでみま専科(ノベルゲーム制作講座37 テキスト編④)
■ノベルゲーテキストの「お約束」とは?
前回まではノベルゲームにおける、
シナリオテキストの書き方、演出方法について説明してきました。
今回はノベルゲームならではの「お約束」について
サンプルテキストを見ながら説明していきます。
ト書きを含めたノベルゲームテキストとはどんな感じなのか、
「ふんいき」だけでも掴んでください。
■ノベルゲーテキストの実例:幼なじみは大統領
(©ALcot)
;※立ち絵:雪乃制服、森田制服
;※背景:生徒会室・夕方
純一郎「終わったぁぁぁ~~~」
気の抜けた声をあげて、書類が詰まれた机の上に突っ伏す。
気が付けば、窓の外の太陽は顔を半分隠していた。
橙色の柔らかな夕日が目に優しい。
;※演出:雪乃の立ち絵登場
雪乃「みんなお疲れさま。お茶淹れるね」
純一郎「濃い目でよろしく~」
;※演出:森田の立ち絵登場(自動的に雪乃立ち絵と並びます)
森田「日が落ちる前に作業が終わったか」
森田「これで『マジカルフェザームーン』をリアルタイムで見られるな」
雪乃「あっ! 予約するの忘れてた。森田くん、今度見せて~」
森田「かまわないよ。一緒に主題歌CDも貸してあげよう」
;※演出:雪乃の立ち絵をジャンプさせる
雪乃「やったぁ♪」
雪乃「週に一度はマジフェザを見ないと調子出ないもんね~」
;※演出:しばらく地の文が続くので立ち絵を消す
;※SE:ポットからお湯を注ぐ
森田との交渉が成立し、雪乃は鼻歌を交えながらポットのお湯を急須に注ぐ。一ヶ月後には進級するというのに、雪乃は相変わらず脳天気だな。ま、そこが可愛いんだけど。
純一郎「っと、浮気はいけないな」
そうだ。俺には彼女がいるんだ。
世界で一番可愛い、俺だけのエルが――
;※回想背景:町並み・昼
季節は巡り、もうすぐ春。
クリスマスにエルと再会してから、かれこれ2ヶ月以上が経過していた。
■ノベルゲーテキストの実例:鬼ごっこ!
(©ALcot)
;※立ち絵指定:葵・制服 /灯・制服 /熊吉・制服
;※回想から戻ってきます ⇒ 背景:昼・通学路坂道
圭介「3代目……か」
3代目を襲名したのは、何も強要されてのことじゃなかった。
考古学を学んだ父さんは怪盗としてではなく、
サポート要員として、俺たちを陰から支えている。
父さんのように、怪盗以外の道を選ぶことだってできた。
でも、俺はそうしなかった。
俺は爺さん、そして曾爺さんの生き様に憧れていたから……。
葵「お兄ちゃん、危ない!」
圭介「え?」
;※演出:ぶつかる
圭介「おわっ!?」
;※熊吉。名前がわかるまで、名前は???で
;※演技指導:可能なかぎり女の子っぽい声で
熊吉「きゃっ!?」
;※演出:倒れる
圭介「いててて……」
しまった。考えごとをしてたら、誰かとぶつかってしまったようだ。
圭介「大丈夫か?」
俺は慌てて立ち上がり、倒れた相手に手を差し伸べる。
ぶつかった時のふわふわとした感触からいけば、相手は女の子だろう。
これを機に、嬉し恥ずかしトキメキストーリーが始まったりして!
;※カットインCG:パンを咥えて女の子すわりで倒れている熊吉
;※演技指導:無駄に可愛く女性っぽく
熊吉「いたーい。どこ見て歩いてるのよ!」
圭介「…………」
;※演技指導:目と目で見詰め合う(きゅん)
熊吉「…………」
ある日、町の中でクマさんに出会いました……。
■ノベルゲーテキストのお約束:ひらき
サンプルテキストで「ふんいき」を掴めましたでしょうか?
では、さっそく一つ目の約束事についてご説明。
それは「ひらき」です。
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内勤ライターとして、美少女ゲーム業界で15年以上働いてきた経験と、そこで得たノウハウを文章にまとめています。ゲーム業界特有の謎規則や技術解説、仕事に取り組む際の心構えなどもご紹介。応援してくださると定期的に記事が更新されます(人間だもの)