短編「眠れぬ聖夜の男の子」3
はじめのご飯の後、トウジは一人散歩へ出掛けた。祖母が語ったペコン山の秋を眺め見て来ようと思い立っての外出だった筈が、気が付くとペコン山の麓を外れて、他のお山の裾を辿っていた。それは村を囲うお山の中でも一番大きなガラン山であった。故に麓はガラン番地である。此処はお山が大き過ぎて蔭をうんと蔓延らせるものだから、それでなくとも少ない日照時間が更に短い。その為家も少なくたった二軒であった。トウジは自分がいつの間にか沢山歩いた事に気が付いて、途端にニット帽の下へ熱が籠るのを感じた。顔