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こどもの読みもの

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こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。
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2021年7月の記事一覧

千曲川のスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎藤村 大正元年 1912

島崎藤村は木曽路の中山道、馬籠宿の出身の作家です。藤村は明治32年、長野県の小諸市に英語教師として赴任し、六年を過ごしました。この間に修学旅行で野辺山原の馬市に出かけました。また、小諸から豊野まで信越本線に乗り、ここから飯山市まで川船で下っています。長野県を流れる千曲川沿いの旅です。これらの旅行の体験を元として写生分「千曲川のスケッチ」は書かれました。

信州の風土

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晩夏

晩夏

シュティフター 1857

裕福な商人の息子として生まれた主人公ハイリンヒ。妹クロティルデと共に家庭内の教育で育った彼は、専門を持たない学者を志し、植物や自然現象の研究に取り組み、毎夏を山ですごしている。ある日、丘陵地で薔薇が咲き誇る白い家に立ち寄る。館は図書館、絵画堂、自然科学の実験室などを備え、地所では農園、家具工房、温室も営まれていた。ハイリンヒは館で日々の営みに通じていく。そして、ナターリ

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カンディード

カンディード

ヴォルテール 1759

『 この最善なる可能世界においては、あらゆる物事はみな最善である 』

1755年、ポルトガルの首都リスボンを大地震と津波が襲いました。犠牲者は5万5000人~6万2000人と言われています。この未曾有の災害はポルトガルの衰運を加速させただけではありません。自然の猛威は、神によって世界は最善に創られているという世界観を揺さぶり、カント、ルソーなどの思想家に大きな影響を与え

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