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あの感情は、きっと龍の姿をしている。


小学校、中学校、高校。
鉛筆、消しゴム、やがてシャープペン。


書いては消し
間違えては消し
紙が汚れて真っ黒になる


なんてのは高校ぐらいまでだった
大学では手がすれて汚くなるからとペンを使い
大人になったらあとも残らず画面は真っ白に戻り
新規作成すればなかったことになる
筆圧が強くて 消した文字が分かってしまうことも
跡が残って白が濁ってしまうことも
消し過ぎて紙が破れてしまうことも
今はない


筆圧が強いのは自己主張が強い証拠だと
どこかで聞いた事があるけど
筆圧が強いままだと細いペン先が潰れてしまいそうなので私は気をつけた
今は自己も主張もあまりない


筆跡のない日々を過ごし
痕跡のないまま流れていくのは楽だけど
でもたまに わざと日々のどうしようもない色々を
汚い字で鉛筆で書きなぐって
それを懸命に消しゴムで消して

強い筆圧で書かれた消えない跡を 
嘘のない想いで書かれた筆跡を
言われなかった本当の言葉を刻んで刻み付けて
残してやりたいと思ったりもする
遠くで龍の鳴き声がする


今はただ、平然と毎日を新規作成しているけど
涼しい顔で行儀よくしているけど
時々どうしようもなく急に 思ったりするのだ






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