103.乙女みたいな玉平さん
『開かずの間』の東浩成です。
危なっ!ちょっと、玉平さん!
バイト帰りに、木更津駅前に玉平さんが現れた。
自転車の目の前に飛び出してくるとか、マジで!
ちゃんと家賃は払ってもらわないとって、それは払いますって!
もう、俺を監視しに来たんですか?
玉平さんならいろいろ知ってるかもしれない!
あかりさんも就活するんですよね。せっかく、西口さんのそばにいられたのに。
俺はそれとなく玉平さんに聞いたんだ。
えっ?人魚姫みたいなもんよ??
玉平さんの話によると、告白は、人魚姫と同じらしい。
せっかく足を貰って、愛する人に近づくことができても、肝心な声が出ない。
愛してもらえないと、泡になって消えてしまう。
そして思う。こんな気持ちになるくらいなら、何もしない方がよかった。
そばにいられるだけで幸せだったのに…
欲をかくと何もかも失う。
あかりさんが西口さんの隣の部屋に引っ越してきた出来事を言っているのか。
玉平さん、乙女みたいなこと言うんですね
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