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「僕の小さなミカンの木」すき間亭日記

それは、日当たりが恋しくなるような三年前の暮れのある日の事でした。

僕が、ホームセンターの園芸コーナーをのぞいていると。

そこに、小さな鉢に植えられた、小さなミカンの木が売られていたのです。

「どうして、こんなに小さなミカンの木が売られているのだろう・・・」

と考えながら。

僕は、その小さな木を見つめていました。


すると、僕の耳に

「ボクは、売れ残りのミカンの木なんだよ。

誰かが、買ってくれないと。

きっとボクは、そのうち捨てられて枯れてしまうかも知れないんだ・・・」

と聞こえてきたような気がしたのでした。


普通のミカンの苗木は、高さが5.60センチはあります。

そして、値段は、一本だいたい千円ちょい位でしょうか。

しかし、その小さなミカンの木は、高さが15センチもなく、木の根元を見ても、接ぎ木の後のようなものも見えませんでした。


ですから僕は、これはきっと実生から育てた木なのだろうと思ったのです

しかし、接ぎ木の苗でなければ、実がなるまでにはだいぶ時間がかかります。

でも、300円と言う値は僕には魅力的だっのです。


それに僕は、自分の家で野菜や果物の木を育てて、自給自足が出来たら生活の足しになって助かるだろうなと思っていたものですから。

木の小ささは、気になりましたが。

その値段の安さに、僕はすぐに買う事を決めたのでした。


でもどうして、そこの、その一本だけが、そんなに小さなミカンの木だっのかは謎でした。

なぜなら、いままでに、そこで、そんなに小さなミカンの木を見たことはありませんでしたから。

それに他の所の園芸コーナーでも、そんなに小さなミカンの木は、ただの一度も見た事はなかったのです・・・。


それから僕は、そのミカンの木を買って帰ると。

冬の間は、昼は日向に出してやり、夜になると寒くないように袋をかけて霜や雪のかからない場所に移動してやったりと大切に育てたのでした・・・。


今年も、まただんだんと暮れが近づいてきました。

あの小さかったミカンの木は、一体どうなっているのでしょうか・・・。

実は、あのミカンの木は今・・・。

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