【在宅勤務禁止令】エクストリームリモートワーカーの備忘録
2020年9月23日19時43分。
泣く子も黙る就業時間後に、労働基準法に負けない高潔な精神を持つ弊社人事から一通のメールが届いた。
内容を要約すると「お前、リモートワーカーになるから会社来んなよ」である。
100歩譲って、それはいい。
女性社員と冷房の温度をめぐって血で血を洗う争いをしなくてよくなると思えば、小指の甘皮だけで2時間スキップしても良いくらい爽快な気分だ。
大体オフィスは、鮮魚コーナーくらいの脳髄も凍るような温度でなければ働く気すら沸いてこない。
そのためになら、カーディガンを人数分縫ったっていいと思っている程だ。
話を戻そう。
見逃せないのは、メールに記載された「オフィスは自宅になります」という一文。
ネットで調べると
「リモートワークは、Remote(遠隔)とWork(働く)を組み合わせた造語であり、オフィスから離れた遠隔地で働く勤務形態を指します。」
とある。
お気づきだろうか?
今私の自宅はオフィスである。
そして私はリモートワーカーである。
つまり、会社の指示を貫徹するなら、自宅から離れて働かないといけないということになってしまう。
まるで古典落語のような展開だ。
しかし、真面目一徹前科なし、もずくの汁も残さずしっかり飲む私は、会社の言いつけを守り外で働くことにしたのである。
これは、リモートワークを愛し、リモートワークに愛され、会社に普通に嫌われている男のエクストリームリモートワーク備忘録である。
【CASE1】動物園
ナウでヤングなチョベリグ人間たちは、リモートワークというとまずはシアトル系コーヒーを食道に流し込みに行くことだろう。
しかし人が多い場所では感染リスクが高まり、情報漏洩のリスクも高まるため、そこは我慢。
電源・Wi-Fiは持参するとして、人が少なく、野外で、あまりうるさくないところという条件で絞って探し、まずは平日昼間の動物園に行ってみることにした。
動物園内で実際に働いてみて感じたメリットは「リモートワーカーになれる」「アリクイがカワイイ」。
逆にデメリットは「不審者扱いされる」「太陽がまぶしくパソコンが見えづらい」「焼ける」「象が想像よりパオンと鳴く」といった感じだ。
年中肌が砂場のような色をしている私にとって、焼けることは特段気にならなかった一方でパオンには本当に悩まされた。
一度電話しているタイミングでパオンされてしまい、お客さんから「あれ?F-1観戦してますか?車が通り過ぎた音がしましたよ。」と言われてしまった。
咄嗟に「本当に…シューマッハがはしゃいじゃって…」と返答し事なきを得たものの、みなさんが象の近くで働く際には、ぜひ気を付けていただきたい。
【CASE2】図書館
今さらだが、CASEという言葉はクラスの一軍にだけ使うことが許されている言葉である。
三軍のトップ集団に位置していた私にとって、一生に一度は使ってみたかったワードだ。
おめでとうございます。
私にとって最初で最後のCASEに立ち会えたことを祝いたいとともに、感謝いたします。
話を戻そう。
実際に働いてみて感じたメリットは「リモートワーカーになれる」「コンセントが使える」「涼しい」「いつでもかいけつゾロリが読める」。
逆にデメリットは「飲食禁止」「電話禁止」「タイピング音がうるさいと注意される」といった感じだ。
特にパソコンが貫通する勢いでタイピングを行う私にとって、音が出せないのはかなり辛かった。
いつも思っている。
私が押しているのはエンターキーではなく、地球そのものであると。
いわば農家の方々よろしく、パソコンを耕しているのである。
農地としての固定資産税を納めてもいい。
大目に見てほしいものだ。
【CASE3】野外球場
リモートワーク最大の欠点と言えるのは、気持ちが高まらないこと。
テンションを上げるのに必要なことは、ずばり2アウト満塁である。
2アウト満塁さえあれば、みそ汁だって高揚して、クラムチャウダーになってしまうといっても過言ではないだろう。
そこで、2アウト満塁を収穫しにプロ野球の試合が行われている野外球場で働いてみることにした。
実際に働いてみて感じたメリットは「リモートワーカーになれる」「とにかく非日常感が味わえる」「2アウト満塁を見れることがある」「ビールが飲める」。
逆にデメリットは「試合が盛り上がったら周りに合わせて立ち上がらなければならない」「焼ける」「電話ができない」「2アウト満塁を見れないことがある」「ビールが飲めてしまう」といった感じだ。
最も注意しなければならないのは、客席がテレビで放映されて、球場にいることが上司にばれてしまうこと。
万が一バレてしまっても、150kmのストレートで鍛えた目があるため上司の叱責など止まって見える。
ただ、止まって見えても説教は説教なので、気を付けるに越したことはない。
「自宅が急にオフィスに指定されてしまった。」
そんな時にはこの記事を思い出し、ぜひ参考にしてほしいと思う。
現場からは以上だ。
【担当ライター】
NAME:鋭角および腰
テレビ番組のADとして獣のような社会人生活をスタート。転職を繰り返す中で徐々に人間の常識を取り戻し、ようやく敬語を思い出し始めた。本記事がnote初執筆。
「ITやモノづくりの世界を身近に感じてもらいたい」そんな思いでこのnoteを始めました。書き手は全員転職経験者。実体験にもとづくエピソードや、転職に役立つかもしれない小ネタ、気になるニュースなどをざっくばらんに更新していきます。気に入っていただけたら、ぜひサポートをお願いします!