専業主婦のあくなき戦い〜"自分の価値"を上げるための1年間の記録〜

新卒で入った会社を辞めてから、気がつけば3年が経った。

その間、私は子供を1人産み育て、母になり2年が経っていた。

仕事を辞めて母になること、すなわち保育の機会には恵まれず、認可外保育施設に預けて働くも赤字の計算。正社員でなければ預けることも働くことも出来ないのか、と落胆し、専業主婦として生きる世知辛さを知った。


専業主婦の現実

実際なってみるまで分からなかったけれど、子持ち専業主婦というのは忙しない日々を24時間年中無休で送るのに1円も稼げず、(被害妄想かもしれないが)世間からはいいご身分だなと蔑まれ、いざ働こうにも専業主婦というのは市場価値が低すぎるのか、労働力が買い叩かれているような現実に何度も打ちのめされた。

だけれども、私は専業主婦としての生活を送る中で前職で働いている時よりも確実に、時間にシビアになり、効率を追求するようになり、面倒くさいことほど先にこなすようになった。

私は専業主婦になったことで、自分の価値や能力はむしろ上がったと確信していた。

専業主婦の反抗

きっかけは些細なものだった。

前職で司法書士と仕事で関わることが多かったこと、身内の死去により煩雑な相続手続にてんやわんやする家族を見て、法務や行政の手続きに関心をもち、これなら独学で資格を取得できるかもしれないと奮起して、行政書士の勉強を始めた。

私は今後働くなら、「もしもの時」のために手に職を持ちたく、また、場所問わずどこでも働けるようにしておきたかったということもあり、書士の資格を目指すことはごく自然なものとしてスタートできた。

勿論「やりたいこと」で言えば、やりたい、やってみたい仕事は他に沢山あったけれど、今の私は何よりも「家族の時間」を優先したかったので、とにかく効率的に稼げるように社会的な自分の価値、つまり"自分の時給を上げてやる"と躍起になっていた部分もある。

子持ち専業主婦の生活の中に、勉強時間を確保するのは至難の業で、とにかく子供が寝ていない限りその時間はやってこない。

子供が寝たあとの時間は勉強に充てれるように、子供が寝るまでに家事は全て終わらせておきたく、私はこれまでよりも更に時間にシビアになり、効率を求めた。

そんな中、世界はコロナ一色となり、どこにも行けないながら子供との思い出をどうにか作るべく、毎日電動自転車を漕いで、片道5キロ以内の公園は行き尽くし、寝起きの子供に「ママ、公園行く?」と目を擦りながら言われるほど私は公園マスターになっていた。

それに伴い必然的に眠気との戦いも勃発した(たびたび敗北した···)。

ついに決戦の日

この1年間の受験生生活も先日幕を下ろした。この1年間の間に、子どもの幼稚園を何処にするかといくつもの園に見学に足を運んで申し込みをしたり、夫の部署異動の関係で感染拡大地域への研修があり、その後2週間の自主隔離(すなわち完全なワンオペ育児生活)も経験した。

母親業と妻業を変わらずに行いながら、受験生である私はこの生活を来年も送りたくないという気持ちを何よりのモチベーションに変えて試験を迎えた。

自己採点の結果はギリギリ受かるか落ちるかの瀬戸際に立っているような、なんとも微妙なもので、正式な合格発表日まで分からない宙ずり状態であったが、私は言い表しようのない満足感に浸っていた。

それは1年間の受験生生活をやり遂げたこと、1年間で受験生の9割近くは落ちる試験の合格ラインにのるかのらないかまで到達できたこと、束の間だが受験から解放されたことから来るものであるのは明らかで、その満足感は急速に私の自信に姿を変えた。


1年間の戦いの結果

試験を終えた次の日、ふと求人を見ると子供が来春から通う幼稚園からすぐの書士事務所でパートの募集があった。私が住む地域の最低賃金より400円も高い時給での求人である。

少しでも自分の能力を示すため、期限切れで放置しきっていた別の士業資格の更新手続きをしたり、すぐにでも働けるよう近所の認可外保育施設に入園を根回しをして保育環境の確保をしたり、ハロワ経由の求人だったので子供を連れてハロワに出向いて、ハロワ中を駆け回る子供を追い回しながら紹介状を手に入れ、試験から3日後の朝には履歴書と職歴書を添えて求人に応募した。

無事書類選考を通過し、その翌々日に10年振りくらいの面接を受けた。

面接中、書士の先生に「家事も子育てもしながら勉強をして、1年で合格ラインまで来れたんは凄いことですよ」と言われ、「そんなふうに言って貰えるならもう面接落ちてもいいや…」と思えるほど嬉しかった。

頑張ってきたことを認めてくれることをとうの昔に忘れていた専業主婦の生活では、誰かにこれまでの頑張りを認めてもらえることが、これ程に嬉しいことだと思い出させるには十分だった。

専業主婦、採用される

面接の翌日、メールで採用通知の連絡があった。試験が終えてから6日目の朝だった。

私は晴れて、"自分の時給を上げること"を達成した。

この1週間の動きを見ると、我ながら誰かに操られているかのようなバイタリティ溢れるもので、人は本気で動き出せば1週間で生活環境を変えられるもんなのだと知った。

そしてこのことを記したくなった。それはどこかで暮らす誰かの1つのキッカケになればという思いと、単純に自分の努力の軌跡を残したいというナルシシズムでもある。

私は私の専業主婦としての市場価値を上げる戦いに勝利したのだ。

これが私の1年間の専業主婦としての戦い。次はパート主婦としての価値を上げる戦いが始まる。私は私の価値を自分から下げず、これからも上げることに重きを置いて、自分を諦めずに生きていきたい。

妻であり、母である前に、私は私だから。


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