飼育員を夢見た理系院生が、デザイナーになるまでの話
こんにちは、セブンデックスのUIデザイナー染谷(そめや)です。
2023 Advent Calendar by SEVEN DEX 第7回目を担当します。
今でこそデザイナーとして働き、ロゴやWeb、印刷物など諸々のデザインをする毎日ですが、元々はどっぷり生物学に浸かっていた理系院生でした。
今回はそんな僕がデザイナーを目指し、セブンデックスへ入社するに至った経緯をお話ししたいと思います!
「美大出身じゃないし…」「デザイン以外の職に就いちゃったし…」とデザイナーへの道を諦めかけている、そこのあなた!
ぜひご一読いただき、キャリアプランを見つめ直すきっかけにしてもらえれば幸いです!
水族館をきっかけにデザインを知る
将来の夢は「水族館の飼育員」だった
幼少期から、家族で水族館にちょいちょい行っていた染谷少年。
水族館で目にする神秘的で非日常的な展示、愛嬌のある生き物たちに心を奪われ、気づけば水族館で飼育員として働くことを夢見るようになっていました。
そんな僕が選んだ大学は「東京海洋大学」。海洋研究において国内最高峰とされる大学です。
海洋生物や海洋環境、漁業について学び、友人と全国の水族館に行きまくる日々を送っていました。
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「デザイン」という概念を知った博物館学
さぁ水族館で働くために何をしよう、と考えた僕がまず行ったのは、学芸員課程の履修登録でした。
ちなみに、水族館も基本的には「博物館」の一種とされています。
そして、学芸員課程で学ぶ学問が博物館学です。
博物館学では、博物館の役割から資料保管方法まで、博物館について様々な角度から学習をしますが、中でも関心を持ったのが「博物館展示論」でした。
この分野では、「資料が持つ情報を、いかに引き出し、提示し、来館者に伝えるか」ということを追求します。
特に、生物の命を預かる水族館においては、展示の社会教育性が施設の存在意義に直結すると自分は考え、特に熱心に学習していました。
具体的には、下記のようなことを学び、考えます。
ここで、空間・グラフィック・UXなど、デザインの集大成が「展示」であるということに気づきます。
デザインの概念・役割を知った自分には、これ以降、デザイナーという職業が脳裏をチラチラと現れるようになりました。
デザイナー就職は諦め、"場"を作る仕事へ
水族館から見えた自分の価値観
まだ水族館就職を視野に入れていた自分は、学芸員資格取得後も、同じく海洋大学の大学院へ進学。生態学分野の研究に勤しみます。
ちなみにこの時の研究テーマは「耳石を用いた経験水温推定に基づくクロマグロの孵化海域推定法に関する研究」でした。
分かりやすいテーマですね。聞いただけで手に取るように研究内容がイメージできますね。
水族館や生物について知見が深まるうちに、水族館は好きだけれど、生物の飼育にはそこまで情熱が持てないと気づいた自分。
では、「水族館の何が自分をそこまで駆り立てたのか」という問いを紐解いたとき、見えてきたのは「ある”場”を通じて多くの人に情報を伝達し、心を動かし、社会に影響を与える」という性質に惹かれている自分でした。
そして、知覚の約80%は視覚と言われる通り、ビジュアルが持つ強い力を武器とした空間デザインやグラフィックデザインに特に惹かれているのは、もはや自然なことでした。
しかしながら、「いや、美大や専門を出ていない人間が、デザイナーになれるわけなかろう」と、デザイナーになる道は熟考する間もなく切り捨てました。
そして新卒で就職したのは、展示会主催者の仕事でした。
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"場"を作る仕事、展示会主催者
ここで言う「展示会」は、美術展のような「展覧会」ではありません。
東京ビッグサイトのような大型会場で、多数の企業がブースを構え、来場者と商談をする、いわばトレードショー、EXPOです(就活合同説明会とかゲームショウもその一種です)。
自分が就職した会社では、最先端の技術や研究を持ったメーカー・研究機関が出展する展示会を多く主催していました。
この仕事なら、展示会という”場”を通じて、科学技術の水準の底上げをし、産業にイノベーションを起こすことで、社会にインパクトを与えることができる、そして、そこに自分の理系知識が役立つだろう、と考えていました。
業務内容としては企画や広報、WEB運用や現場運営でしたが、非常にやりがいのある仕事で、プライドを持って働いていました。
無理やりこじ開けたデザイナーへの道
転機は突然に。初めてのWEBデザイン
入社2年目の6月、ふと「デザインちゃんと学んでみたいな」と思い立ち、土日で社会人学校に通い始めます(仕事は継続していました)。カリキュラムはDTP向けの内容で、Adobe illustratorやPhotoshopを使った制作と、色彩や写真など技法の学習を、半年間で行うものでした。
ただこの時は、デザインを仕事に活かすなんて考えておらず、完全に趣味として通っていました。
数ヶ月通って卒業が近づいた頃、仕事で担当していた展示会のWEBリニューアルの話が舞い込んできます。
当時、WEB運用を任せられていたため、リニューアル内容は委ねられておりましたが、要件は制作会社に伝え、デザインから実装までお任せする予定でした。
しかし、デザインのイメージが思いついてしまった自分。
これは自分で作りてぇ!となった自分は、初めて触るAdobe XDで、初めてのWEBデザインに挑みます。学校ではWEBデザインは触れていないため、完全なる素人。今となっては恐ろしい話です。
完全に自己満足で趣味の延長の感覚だったため、業務時間中は行わず、退勤後や土日に作りました。
そして出来上がったデザインデータ、上司に見せるとまさかのGOサイン。好奇心と熱意による勢いで無理やり作った「初めてのデザイン」が世に放たれることになりました。
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セブンデックスとの出会い
展示会のWEBを無事にリリースできると、その展示会で使用するポスターやバナーも自分がデザインする流れが出来上がりました。この頃から、"場"にこだわることなく、紙やWEBといった平面での情報伝達も、十分やりがいがあることを実感し始めます。
ただ、部内には自分しかデザイナー(のような役割の社員)はおらず、フィードバックをもらったり、他のデザイナーの作業を覗き見ることはできないため、孤独な戦いでした。
スキルアップを望んだ自分は、結局、転職をすることに決めました。
しかしながら、これまで博物館学で展示の意義を考えたり、展示会の仕事で企画やマーケティングにも片足突っ込んでいた自分は、デザインを上流から考えることの重要性を意識しており、「言われたものを作るだけのデザイナー」は視野に入れていませんでした。
また、コンセプトや戦略によって最適なソリューションが異なることから、DTPやWEB、空間など、多彩なアウトプットに挑戦できる環境を望んでいました。
その結果、転職先として満足できる企業が見つからず、約1年が経過した頃、Wantedlyのスカウトで声をかけてくれたのが、株式会社セブンデックスでした。
正直、初めは「そんなUIデザイン未経験者が就職できるような上手い話あるかい」とか思って疑心暗鬼になっていました。
しかし、マーケティングを重視した先にデザインを見出している点、ロゴやWEB、店舗デザインなど多彩なアウトプットを実績として持っている点、そして何より、面談や選考で真っ直ぐに自分に向き合ってくれている点に、非常に感銘を受け、入社することを決意しました。
好きなものと向き合おう
紆余曲折してきた数年間でしたが、水族館を好きになり、デザインに出会い、転職するまで、一貫して持っていたのは「最適な形で情報を伝達することで、人の心を動かし、社会に影響を与えたい」という野望でした。
ただ、その野望も、博物館学や就活での自己分析など、様々な角度から水族館に向き合ったことで気付いたものでした。
もし現状にモヤモヤしている方がいたら、まずは自分の好きなものと徹底的に向き合い、自分の野望を探してみてはいかがでしょうか!