中村光代 (solutions inc.)

広告を中心にコミュニケーション戦略を考えるsolutions inc.代表。「誰も書か…

中村光代 (solutions inc.)

広告を中心にコミュニケーション戦略を考えるsolutions inc.代表。「誰も書かない地方広告」をテーマに、広告や経営戦略、海外戦略について書きます。3女の母。MBA。地方広告賞受賞多数。https://www.facebook.com/solutions.inc.japan

最近の記事

グレート・リセット

前回書いてから、あっという間に1年が経ってしまいました。 竜宮城にでも行っていたんだろうか…。 いえ、毎日必死のパッチで仕事をし、 山口のみならず国内あちこちに仕事や人に会いに行き、 人とのお別れがいくつかあり、コンペに勝ったりコンペに負けたり、 いいと言われることもあればいいと思われないこともあり、 娘2人の受験があり、働く時間が変わり・・・。 いろいろとありました。 たぶんお読みになっている方の過去1年も、いろいろおありだったと思います。 昨年度の終わりに、自分が副所

    • さよならで賞。未練なし。【地方広告と賞⑤】

      最終回です。終わらせなきゃ。というのはプレゼンで勝ったので、7月アタマの放映開始に向けてこれから爆速短距離走に突入するからです。もう6月になりますけどなにか? 7月ローンチ後からは長距離走に変わり、来年の3月まで。ということは、入金は来春か…(遠い目)。 では、前回から続けます。 ーーー プレゼン日の夜、会社にかかってきた1本の電話。その主は私を探していました。いじわるな対応をした私はバツ悪く名乗り(そ。いじわるはいつでもダメですね)、何事かと次の句を待っていたら、私たち

      • 広告で助かる命【地方広告と賞④】

        ようやくnoteの続きを書ける時間ができてまいりました! いや、本当はウソ。横に締め切りを書いたメモが「やばいよ!」と叫んでいます!3月で忙しさは終わると思っていたら、4月はそれ以上に。いまコンペの時期なのです。「い、いま無理・・・」というと、「待つから」と5月の予定もどんどん入ってきました。そこまでしてご指名いただけることがありがたく、じーんときています。 今回の写真は、非常に苦しかった30代仕事迷走時期を抜け出しつつあった時期の写真(撮影時、本番のモデルさんの位置や光

        • クリエイティブのリハビリ【地方広告と賞③】

          3人目の育児休暇明け直前、久々に会社に行ったコピーライター中村が会ったのは、ちょうど帰社したばかりの営業さんでした。受付のカウンターで言われたのは「オカダさん、復帰後の仕事決めてきたから」。 聞くとコンペの話が来たそう。それは以前私たちにお任せいただいた仕事だったので、彼は交渉しました。「オカダがもうすぐ育休から帰ってきます。それでもコンペにしますか?」そしたら随契になったと嬉しそう。「大きく出たからあとは頼むで!」と念を押して、彼は去っていきました。 驚きました。もう私

        グレート・リセット

          この仕事、広告賞とれますか?【地方広告と賞②】

          30代、3回の出産を経験した移住コピーライター中村です。 3回の出産ということは、3回の育児休暇を取得したということ。まるまる3年間+出産前は全く、広告人として稼働していません。 コピーライターにとって大事な30代に、何も仕事をしていない。つまり、広告賞に応募する作品がない。特にTCC新人賞は5作品を応募せよとのことでしたので、質に加えて量も必要。 じゃあ休むのやめて仕事すればいいじゃん。となると思うのですが、赤ちゃんってそう言ってられないぐらい手間がかかる存在なんですよ

          この仕事、広告賞とれますか?【地方広告と賞②】

          広告賞に恋恋とする【地方広告と賞①】

          香川に来た移住コピーライター。次にしたかったことは「広告賞をとること」でした。 私が初めてとった広告賞は、CCTクリエイターズクラブ高松の「眞木準審査員特別賞」。30歳のときです。 眞木準ですよ!!って叫んでも、叫び返してくれるのは同世代のコピーライターぐらいかな・・・。 でも「でっかいどう。北海道」は、どこかで聞いたことがあるのでは?「恋は、遠い日の花火ではない。」はどうでしょうか? このコピーを作ったのが眞木準です。 コピーライターを目指していた大学生のときから大大

          広告賞に恋恋とする【地方広告と賞①】

          逃げてた仕事を追いかける。地方広告業務範囲④

          妊娠が分かった5月から事業開始の9月まで何をしていたか、怒涛過ぎて記憶は正直あいまいです。 覚えているのは最後の1か月、大きなおなかでお客様のところに毎日通っていたこと。「ここで産むなよ!」と冗談でよく言われていて、私も「ここで産まれたら名前は『あかり』ですかね」と返していました。夜遅くなった帰り際、お客様がそっとタクシーチケットを渡して「これ使って。安全に帰ってください」と言ってくださることもありました。ローンチ前の1週間はお客様企業の社員のように、そこの会社に通って働き

          逃げてた仕事を追いかける。地方広告業務範囲④

          みんな「失敗する」って言う。地方広告業務範囲③

          急に新規事業の立ち上げをすることになった新入りコピーライター。困って本屋さんに行ってみたものの、2002年当時は「事業の作り方」なんて本は見当たりません。(2020年のいまはそんな本が書店で山積み。) 私はむしろ、別コーナーにある広告業界誌『宣伝会議』や『ブレーン』に載っているような仕事がしたかった。 「せめて事業ではなくTV番組にしませんか?そしたら“制作”というクリエイティブ仕事の範囲内でできるのに…」。できない理由を考えうる限り並べて、何日も社内相談を重ねて。並行し

          みんな「失敗する」って言う。地方広告業務範囲③

          CMを作る話のはずが、新規事業を作ることに。地方広告業務範囲②

          広告代理店に入社して数週間、初めて小さなコンペに勝った私は「ようやくこの会社で息ができる」と思ったことを覚えています。上記の写真は、最初の仕事を発注してくださったホテルの写真です。 「使える」ことが分かった私のもとには、社内から、不要不急の仕事がやってくるようになりました。それは、 「自主提案」です。 クライアントさんに頼まれてもいないのに、自分たちで自主的に広告企画を考え、クライアントさんに提案しに行く仕事を自主提案といいます。私のところにやってきたのは電力会社のお仕事

          CMを作る話のはずが、新規事業を作ることに。地方広告業務範囲②

          「どうやって食べてるんですか?」地方広告業務範囲①

          あっついですねー。昨日ようやく、仕事部屋にクーラーがついた中村です。 いま住んでいるのは半年前に入った賃貸住宅なのですが、エアコンはあるものの、どうやら使えない…と当初から思っていました。 窓を開ければ、近くの川を渡る風がさーっと入ってきて、その川のすぐ先は瀬戸内海につながっています。なので春から梅雨明けまでは問題なかったんです。でも梅雨明けと同時に、熱さ(暑さではない)の立ち上がりが一気にきた! 8月の2/3は、クーラーなしで仕事!!四国の暑さはひどい。盆地で夏は灼熱の

          「どうやって食べてるんですか?」地方広告業務範囲①

          地方の広告就職 中途採用 ㊟2002年版

          結婚直後はすぐには働かず、まずは自動車学校で免許を取ることにした移住コピーライター中村です。日課は家事と教習所という気楽な毎日。 取り込んだ洗濯物のワイシャツにアイロンをかけていた、ある静かな夕暮れのことです。ふと「部屋とYシャツと私」という、平松愛理の歌が頭に浮かびました。 その瞬間、私はアイロンを放り投げたくなりました。こんなのイヤ。こんなことしてる場合じゃない。 一気に就職活動開始まずは元上司の知り合いであるA社の方を紹介してもらい、電話をかけ、会う約束をとりつけ

          地方の広告就職 中途採用 ㊟2002年版

          「効かない広告、ただのゴミ」地方広告の本質

          最初に言います。地方広告で問われるのは「動くか、動かないか」です。 お財布からお金が動き 棚から商品が動き イベントでは人が動き 結果、広告が効いたか効いていないかが如実に分かり、 何が原因で、誰の責任かも、はっきりとわかる。 それが、私が香川に来て痛いほど学んだ、広告の本質でした。 化粧品の広告がやってきた!経緯は別の機会に譲りますが、香川に来て半年間主婦生活を送ったのち、私は地元の広告代理店に入社しました。入社前からプロジェクトにアサインされ、入社5分後には第1回ミー

          「効かない広告、ただのゴミ」地方広告の本質

          地方広告 キャリアの自殺(後編)

          (前回より続きます) 秋の気持ちのいい日曜日に休日出勤している…と言えば、広告業界です。 その日の仕事も4時ごろに終わって、あとは帰るだけ。上司のTさんと話していた時でした。「結婚の話は進んでるの?」と聞かれ、「進めてはいるんですが…」と相変わらずの歯切れの悪さで答える私。 「毎日通勤電車から神戸岡本や西宮の景色を眺めると、香川の坂出駅から見る電車の風景と全然違う。この景色に本当に慣れるのかな…と、まだ不安に思っています」。Tさんも高松出張が多く、車窓の風景はよくご存じ

          地方広告 キャリアの自殺(後編)

          地方広告 キャリアの自殺(前編)

          のっけから物騒な話ですみません。 2002年3月に、それまで勤めていた大阪の、小さいながらも切っ先鋭い広告会社を辞め、香川県におヨメに来たコピーライター、中村です。嫁入りから半年間は主婦として、社宅で夫の帰りを待ちながら自動車教習所に通ったり、高松の街を散策したり、という生活をしていました。 結婚の執行猶予期間2001年3月に結婚話が出てから実際に結婚するまで、私は夫となる人に1年間の「執行猶予期間」をもらっていました。 なぜか?  当時、香川行きは、私の広告コピーライ

          地方広告 キャリアの自殺(前編)

          誰も書かない地方広告

          はじめまして、中村です。 香川県をベースに、広告のクリエイティブディレクターや、企業の広報戦略や新規事業をつくる仕事をしています。2016年5月にsolutions inc.というひとり会社を立ち上げました。2020年6月、いまだにひとりでやっています。 キャリアのスタートは東京で、コピーライターでした。東京、大阪で仕事に明け暮れ、2002年に結婚で香川へ。2013年に再び東京に引っ越し、2016年に香川に戻ってきました。 広告の仕事をずっと続けていましたが、その間、友

          誰も書かない地方広告