広告で助かる命【地方広告と賞④】
ようやくnoteの続きを書ける時間ができてまいりました!
いや、本当はウソ。横に締め切りを書いたメモが「やばいよ!」と叫んでいます!3月で忙しさは終わると思っていたら、4月はそれ以上に。いまコンペの時期なのです。「い、いま無理・・・」というと、「待つから」と5月の予定もどんどん入ってきました。そこまでしてご指名いただけることがありがたく、じーんときています。
今回の写真は、非常に苦しかった30代仕事迷走時期を抜け出しつつあった時期の写真(撮影時、本番のモデルさんの位置や光の当たり具合を見るために、クリエイティブディレクターの私が”アタリ”で画面に入った時の写真)が出てきたので、考えもなく貼り付けます。まさに下の仕事の時期です。当時はこんな顔をしていました。
3月に2件の広告賞受賞のお知らせ
さてそんなばたばたな中、私がクリエイティブディレクターとしてリブランディングのお仕事をさせていただいた企業広告(TVCMと新聞広告)が、2つの広告賞をとったとお知らせいただきました。この広告は厳密に「ここを叶えるべく実施する」というKPIがありました。それをクリアしたというお話を1か月前に聞き、ホッと胸をなでおろしていたときの予想外情報。広告は関わる人が多いので、誰かが応募してくれているのです。
広告賞は私がもらうわけではないのですが、私のお客様(広告代理店さん)とそのお客様(企業さん)が喜んでおられるのを見ると、私もホッとします。
賞を取っても喜ばれないこともあります・・・。結果が出ていないときや、ゆえに関係性が悪く終わった時です。
賞より結果と思うようになったのは、
ドメスティックバイオレンス(DV)防止啓発広告
私、死ぬ前に自分の仕事を振り返るとしたら、このDV防止啓発広告を思い出すことと思います。なぜならこの仕事で、リアルにDVを受けている幾人かの方が広告を手に「助けて」と県の機関に来られたから。その広告とは、公共のトイレに貼ったシールでした。
話はさかのぼりますが、この仕事を受ける前、私は東京のデザイナーの友人宅に泊まりに行きました。そして友人が、隣の住人に暴力を振るわれている女性を何人も家にかくまったり、警察を呼んだりしていたことを知ったのです。「こないだこんなことがあってさ~」と淡々と話すのですが、「アンタこわくなかったの?」って言いたくなるほど、彼女は積極的に介入していました。住んでいる家はマンションで持ち家、1人暮らし。お隣さんから何かされないの?と言うと「こわいよ。でもほっとけないじゃん」と言って、警察が来るまで逃げた来た女の人と一緒にいて「実はこれ、あなたが最初じゃないんだよ…」なんて話したりしてるのです。
翌日、私は国際女性ビジネス会議というものに参加したのですが、そこで登壇した有名な人たちの話を聞きながら、私の友達は無名だけど、この人たちと同じぐらいかそれ以上、実はすごいんじゃないのか。行動することがすごいじゃないの、と思っていたのでした。
DV防止啓発広告のコンペが来た時、彼女のことを思いました。そんなふうに隣の人をその隣の人が助けるにはどうしたらいいんやろう? 何か行動を促すとしたら? そもそもDV防止啓発広告なんて誰も見てくれないものを見てもらうには? センセーショナルな内容にするのは簡単だし人目も惹くけど、そうじゃなくて誰も傷つけないような表現って?
コンペ前に県の担当の方に話を聞きに行ったのですが、その方には他とは違う熱を感じました。やりたいことをはっきりお持ちなのです。トイレに貼ったシールもそのひとつ。DV被害を受けている人が本当にひとりになれるのはトイレだけ。なのでスーパーを中心に日常動線の中で使う場所にシールを貼ってほしいということでした。私の工夫は、そのシールをはがしやすいものにしたということだけです。
広告自体はマンガ『だめんずうぉ~か~』のワンシーンを起用し、作者の倉田真由美さんと地元TV局のアナウンサーさんとで、ショッピングセンターでトークショーをしてもらいました。
余談ですが、このアナウンサーさんは夕方のニュースを読む格調高めキャラの方でしたが、以前一緒に仕事した時、彼の話を私にして「どう思います?」と聞いてきた姿にとても好感が持てて!この人本当は今どきの女の子で、そのキャラを出してもらったほうが若い子の共感も得やすいな~と思って、お願いしたのです。局の営業さんは「本当にいいんですか?別の人がいいのでは?」と何回も念押ししてきましたが、「その方じゃないとイヤです~」と頼み込んだのでした。
大学生を中心とした若い世代に向けてデートDVの啓発イベントも盛り込み、新聞広告やチラシを作り、メディアプランを考え、実際に支援をされている方の意見も参考にして企画をまとめ、さぁプレゼンです。
プレゼン後はやさぐれモード
プレゼンでは必死に説明し、いくつかの質問に答えました。「DVはそれが犯罪なのか愛情なのか単に嫉妬深いだけなのか、だんだん分からなくなる。暴力を振るわれるあなたが悪いと言われたら、そうか自分が悪いのかなって思ってしまう。そこを本当にそうなの?これってDVなんじゃないの?と立ち止まってほしい。本人は難しいかもしれないけど、周りの人もそれってDV?って考えて欲しい。私たちの啓発はそこから始める」と訴えました。
会社に戻ると反省会です。そこで改善点を指摘されて、理不尽な!とやさぐれる(こっちこそ理不尽な態度の)私。何もかもうまくいかない!と思って残業するも、気付いたらフロアには私1人でますますブルー。世界で私だけが不幸!と思っていたところに、外線電話がかかってきました。
「誰?こんな時間に」と荒れた気持ちで電話に出ると、名乗らぬ相手が「オカダさんいますか?」と言うのです。やさしくない私は「オカダは二人おりますが」と返しました。私もオカダなのにです。
(もう、ごめん!長くなる!続きにさせてください。私の話は長いよ!なんとかならんのか。許して!!)
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