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ざんねんなRPA

先日、「業務を自動化するRPAとは」という記事を書きましたが、RPAも上手く使えば、業務効率化の一助となります。しかしながら、RPAを使うことを目的にすると、ざんねんなRPAが出来上がってしまいます。
今日は、ざんねんなRPAについて、お話します。

1.今回のタイトルの由来

「ざんねんな情報共有ずかん」というページが好きでよく拝見しています。これはCybozuさんの販促ページでもあります。ただ、本当にそうだなと思っているので、このページをよくエピソードとして使っています。
※私はCybozuさんとは何の関係もありません。
※強いて言えば、Garoonやkintoneを職場で使用しているということです。


2.手段が目的化する

手段が目的化するとはよく言われることです。RPAという言葉の響きに惑わされてい導入が目的化していることをよく耳にします。
「定型業務を自動化して、稼働を削除すること」が目的です。
「目的を達成できれば、別にRPAでなくてもいい」です。
RPAが最適であれば、RPAを使えばいいし、別の手段が最適であればそれを使えばいいだけです。
「RPAを導入すること」が目的ではなく、「稼働を削減すること」が目的ですからね!
稼働を削減できれば、クリエイティブな時間への工数投入やライフワークバランスの推進につながると思います。


3.パフォーマンス的導入(1)

私は自治体職員なので、自治体の現状を例として書きます。
システムは導入自体がクローズアップされても、運用がクローズアップされることは稀です。
特に自治体は票集めのための政治的なパフォーマンスが求められることがあるので、それが顕著です。
RPAに関しては、私が携わった市の案件の導入検証で、年間5,000時間の削減がその市のHPで報告されています。
※どこの自治体か知りたい方はtwitterよりDMお願いいたします。

この報告はあくまで、その業務を自動化した部分の削減しか考慮されていません。残念ながら、その他の追加となった作業時間や構築にかかった作業時間は闇に葬られます。(このケースはそうであること実感とヒアリングにより知っています。数名の方とお話ししましたが疲弊している方が多かったです。)
現場は、その削減時間を確保するために、データ準備などの別の作業を求められるので、このようなシステム導入は「ざんねんなデジタル化」となるわけです。

本当に大切なことは「実際の稼働を削減すること」です。現場の稼働が削減されていればよいのです。
ちなみにこの自治体は導入検証の報告は、HPでアップしていますが、実際の結果はHPでアップしていません。導入検証よりも素晴らしい結果が出たのであれば、大々的にアップして頂きたいものです。
その場合は、私もその事例、しっかり勉強させていただきたいです。


4.パフォーマンス的導入(2)

私は今年度から再びRPAの担当となりました。
実際に昨年度導入されたRPAのシナリオをヒアリングしたら、すべて即時使用できるものではありませんでした。しかしながら、昨年度の削減時間数報告には、ちゃっかり年100時間程度が上乗せされているのです。
私は、その報告書の数字を確保すべく、シナリオ修正調整や端末の設定等、30時間ぐらいを使って、報告書の数字を実現するための行動をしました。
世の中には、このような事例がたくさんあるはずです。

また、実際に対応したケースですが、2022年6月にIEのサポート終了することが分かっていて、2021年にIEベースのシナリオを作成していたケースがありました。運用を考えていれば、誰かが待ったをかけられたはずです。
こういう導入は、パフォーマンス的導入と言わざるを得ませんね。


5.私が思うあるべき姿

繰り返しになりますが、目的が達成されないのであれば、RPAを導入する必要はありません。
本当に大切なことは「実稼働を削減し、クリエイティブな時間や休む時間を増やす」という目的を達成することです。そうなって初めてRPAを導入した本当の意味があります。
現場が楽になったと実感でき、管理上においてもコストダウンや品質向上が数値として示されるようになってはじめて意味があったと言えるものだと思います。
私は、ざんねんなRPAが導入されたことによって、犠牲者が増えないように、調整していこうと思っています。

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