最近公開されたイタリア映画4作品の感想
時間がある時は映画館通い。何せマイナーの映画館だけに通じるサブスクをしてしまったから。毎月2回は必ず行かないと損なのである!
今回のnoteでは最近見たイタリア映画、2022年と2023年公開の作品を4つチョイスしてみた。
映画によって、一言感想のものと長〜い感想があるから注意。好きなものと嫌いなものがはっきりし過ぎている私の性格。この辺り、どうもイタリア風(よく言えば)である。
Il sol dell'avvenire
さて私の感想が一番短い映画からいってみよう。
ナンニ・モレッティ監督。(この監督が好きな人にはごめんなさい)
直邦訳だと、「未来の太陽」。2023年の公開。日本ではまだ公開されてない。
もう、この監督のは見なくていいかなと思うほど、つまらない。特に共産主義について、いろいろ映画の中で描いてる人だけど(左翼リッチな彼らしい)とは思うけど、いつもモヤモヤする。なんだか時間を損した気分である。特に今回のはかなり微妙。イタリアの共産主義が、ロシアや中国などの共産主義と違うのは、当たり前のこととして私の中にはすでにあったので、何を言ってるんだろう、今更という感想。
日本の共産党も、別にロシアの共産主義とは違うのである。同じことではないか、ほんとこの時期に何を! (ウクライナ応援を、ハンガリーのこととして描いているだけであった)残念なほど、面白くない。
でもイタリアや世間的な評価は高い作品。
そして、この映画でも、劇中劇がある。劇中劇があると映画が評価が高いのは最近の特徴。ふざけている。
IL COLIBRÌ(はちどり)
夫が原作の本を読んで凄いから映画もいいいはずだ、と力強く言うので見たが、思いがけず面白かった。今年は去年の夏が辛すぎて、イタリアへはいってない。というわけでイタリア語力が衰えてきているのをヒタヒタと感じるので原作本は読破しようかな、年末にかけてと思うほど、良かった。
ネタバレ注意
『ハチドリ』は、フランチェスカ・アルキブジ監督による 2022 年公開のイタリアの映画。 この映画は、サンドロ・ヴェロネージによる同名の2019年の小説を映画化したもの。
イタリアのどこかの海辺の別荘を舞台に、愛称が"はちどり"のマルコの少年時代(70代)から、青年期、老年時代(近未来)のマルコの家族と周りの人達を、時間軸を交錯させながら描いている。お隣がフランスからの一家が住んでいて、その娘も重要な脇役。時々フランス語が入るとなんだかオシャレな感じ。
過去と現在を交互に時間軸を交錯なので、多少初めは戸惑うが、やはり俳優たちの演技だけではなく、朝ドラ「らんまん」(らんまんは好きだけど背景の手抜きが目立つ)にはない、6時間かかったらしいド級メイクアップ術や、細部まで表現する力技の美術さんたちのおかげもあり、時間軸が変わるのを自然に見せてくれる。
主人公のマルコと彼の家族や周りの人達との間で色々な出来事が起こり、物語好きにはたまらない。愛、家族の死、誕生、裏切り、純愛。
原作になった本では、老年になりマルコがポーカーゲームに入れ込むところなどももっとかなり細かく長く書かれているらしい。ここではチラリ。
最後は現代のイタリアだったら違法の安楽死の話が入ってくる。この辺りは近未来と考えればいいのかもしれない。
切なく悲しいが、こんな最期だったらと思うような理想的な死の訪れがそこには描かれている。主人公の人生色々ドタバタあったけど、最後は幸せにって。
このあたり、理想を追求するイタリア人の本が原作だけあると思った。ちなみに現在はイタリアでは安楽死は認められていない。だからやはり近未来なのだ。
つい、日本映画の近未来「プラン75」が浮かんで、対比で考えてしまう。
近未来といっても今と対して変わらない雰囲気の日本、違うところは合法な「プラン75」という安楽死法がある世界、ただ今のような弱者を切り捨てることが続いている日本だと、本当にこのまま日本はこうなってしまいそうで怖い。
現在日本に住んでいる人にこの『プラン75』の話をすると、法案を含めて、それが実現したら自分もという答えがかなり返ってきて、悲しくなる。
希望なし? ファンタジーでいいから希望の制作是非と、日本へと願う。
話は戻り、俳優たちの演技、全員上手。フランス人の女優さん、官能的で素敵である。頭がおかしい妻を演じた人や、マルコ(主人公)のお姉さん、妻のクレイジーぶり(心理的に問題を抱えてる)などかなりリアル!
私が最近もうこの人嫌、と思ってるに至った映画(上参照)を作る男、ナンニ・モレッティなども俳優として出てくる。俳優としてはなかなかいい存在感。
そしてそれにつけても、この主役の俳優さん、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノさん、この人ちゃんと寝ているんだろうか、と思うくらい色々な映画で主役で出てくるので、後で彼のこともチラリ。
Ultima notte di amore
実は私は昔、ミラノで写真学校へ行っていた。90年代のころだ。ちょうどデジタルがで出した頃。イタリアには7年間住んだ。その後、イタリア人の夫と結婚してオランダへ移住。今に至るわけなのですが、彼がトリノ出身なので、ミラノは遠くなく、彼の実家へ一緒に戻る際はミラノへもよく行く。前住んでいた、エリアもつい行ってしまう。
ここ数年。昔はなかった新しいモダンなエリアができたりと、非常に変わった。その近くにあるチャイナタウンで、ご飯を食べたりとかしていたのは、本当にのどかな時代だった。
中国人マフィアが前に比べて、より巧妙にイタリア社会へ入っているのを知ってはいたが、この映画でよりその辺りが明確になっていてとても興味深かい。
もちろんこの話は事実ではないけど、ありありな話ではあると思う。
イタリアンマフィアの話から中国人マフィアの話へ。
この映画、英語訳だと『Last Night of Amore』。
アンドレア・ディ・ステファノが脚本・監督した2023年の犯罪スリラー。
なんと、ここではあらすじも書いてしまう。
警察官を演じる、ピエル フランチェスコ・ファヴィーノは、中国人マフィアのトップを助けたことから違法であるダイヤモンド輸送の仕事に知らないで巻き込まれる。
長年の相棒であり親友のディーノと共に空港から怪しさ一杯の中国人カップルを車で単にミラノへ輸送する仕事。ただ、その日は彼の警察官としての最後の日であった。この日をきちんと過ごすと、年金がもらえるのであった。
やらなくてよかったのに、やってしまったことから巻き込まれたこの犯罪、彼の周りを巻き込んだ話になる。
映画を見てわかる人はわかると思うが、彼がなぜ長年役職のない平の警察官だったのか、それは彼の愛おしい美しい妻の出身が、マフィアと繋がっているからなど、細部にも細かい。
音楽も胸踊ろさせてくれるし、エンタメとして見るとこの映画がこの中では一番面白い。ドキドキワクワク。はっきり言うと最新の『ミッション インポッシブル』より上である。
こういう映画をイタリア映画に求めるのは古いのだろうけれど、超面白かった。観客もかなり多かった。時間軸は時々行ったり来たりするのだけれど、良い脚本と、音楽のせいでこの映画は忘れないと思う。
頭が記憶したのを感じる。
Il primo giorno della mia vita(人生初日)
この映画はとても可愛い映画。とても洒落た感じの映画である。
この映画、私的にはイタリア映画というより、まるで日本の感覚と、フランスのムードにあふれているところが両方入っている。
イタリア映画らしくない為評価は低いが、見ておいても損はないと思う。突然人間が死んだ後に目ざけたら、ここはどこ? そのあたりから始まる話。死神ではないけれど、死へのガイド役をトニ・セルベィッロが務める。イタリア映画好きなら知っている、La grande belleza(追憶のローマ)
に出てくるトニ・セルヴィッロが主演している。あちらでは、金持ちの傲慢な役がうまくはまっていたが、ここでの彼は優しく知的、繊細な感じを上手く演じている。とっても上手い役者さん! 見て損はない。
ピエル フランチェスコ・ファヴィーノについて
これらの映画のうち二つの主役のファヴィーノ。ものすごい存在感。
日本で言えば、役所広司的な存在だと思う。
マフィヤや警察官の役(いつも主人公)はあまりにもはまり役すぎるけれど、このお金持ちに生まれた「はちどり」の映画を見て、ほとほと彼の演技に感心した。
たまたま、家で見たナルニア物語の三作目でも何気に出ていた。そういう意味ではハリウッドでも大活躍しているイタリアの役者さんだ。
英語も上手いからか? ヨーロッパ内でも40以上の映画やドラマに出ている人気俳優さんなのに、色々探してもあまり記事が出てこない。現在54歳、パートナーは女優さんで、二人の娘さんがいることしかなぜかわからない。
とっても、不思議。すごくカリスマ性があって掘り深系のイタリア人なので、年取って見られるが、まだ54歳。ガンガンこれからも活躍してくれそうである。楽しみ。
ということで、だいぶ長くなったんで、今回はこれまで。Ciao tutti!!!!!!
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