エッセイ【週間少年ジャンプ】

僕は週間少年ジャンプを読んだ事がない。
正確に言うと小学生の頃に親に連れて行ってもらっていた床屋での待ち時間で手に取った事はあるのだが、パラパラと触れた程度である。
これはジャンプを読んだ事ない内に入るだろう。
身長169cmの人間が、1cmなんて誤差だ!と170cmを名乗るようなものだ。
だから僕は胸を張って言える。ジャンプを読んだ事がない、と。
ジャンプを読んでいないお陰で、学生時代、(なんなら今も)会話についていけない事は多い。「今週のワンピース見た?」「BLEACHやばいぞ!」とかこの手の類は全くついていけない。毎週火曜日が嫌いだった。
ジャンプ1つで毎週、「明日発売か〜、ワクワクするな〜」とプチ楽しみを期待出来る人間が一定数いる。ジャンプは偉大だと思う。
ジャンプ1つで【友情、努力、勝利】を与えているし、ジャンプ1つで友達と話すきっかけにもなる。

会話についていきたいなら、ジャンプを読めばいいじゃないか!という声が聞こえてきそうだ。しかし、ここまで来たらジャンプを読まなくていいと思っている。ジャンプを買った事がある人間や読んだ事がある人間より、買ったことも読んだこともない僕の方が希少価値が高そうだからだ。
「ジャンプ読んだことないんだよね〜」この一言。
学生の頃は「じゃあ、コイツは会話に寄れないな」と思われ無視されていたのが、今では「逆に学生の時、何をして過ごしたの?」と相手に疑問を持ってもらえる事が増えた。話題は自然とジャンプの話ではなく、僕の子どもの頃の話、然り子どもの頃流行った遊びなど、話題のすり替えが発生する。ジャンプという未知の世界から脱却出来るのだ。粘り勝ちである。ジャンプを読んだ事がないそこの少年に勇気を与えるため、僕は今日もジャンプを読まない。

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