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風景のレシピ #67 “眠りの運河”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #67 “眠りの運河”

調理時間:5時間

材料:
星空:一面
運河(分岐あり):ひとつ
街灯:一本
建物:数件
ボート:一艘
木々:適宜


1.瞬く星空の下に、建物を並べる。
  夜光の放つ不思議な色で、その界隈を包む。


2.縦横に運河を通し、丁寧に河岸を整備する。
  所々に河べりに降りるための階段をつくる。


3.ボートを一艘水に浮かべる。
  ボートの中で、誰かが眠っている。


4.今日は、役立たずの街灯を立てる。


5.星のいくつかをつまんで、水面に軽くふりかけて、出来上がり。


調理のコツ
*もう二度と朝を見ないかもしれない、という気持ちで。

空より明るい不思議な水面
苔の生えた河岸の階段
安眠したい人のためのボート
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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