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風景のレシピ #69 “燈刻の部屋”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #69 “燈刻の部屋”

調理時間:7時間

材料:
誰もいない部屋:一室
窓:ふたつ
夕暮れの空気:ひとつ
鉢植え:適宜
テーブル:一台
椅子:一脚
本:数冊
庭:ひとつ
隣家:一軒
スープの香り:少々


1.がらんとした部屋を作る。時はマジックアワー。窓をふたつ開ける。


2.夕暮れのやさしい空気を漂わせる。
  窓の外に庭の気配をひろげる。
  室内は徐々にひんやりとさせていく。


3.室内にはテーブルと一脚の椅子を並べる。
  鉢植えをいくつか、床や窓際に置く。


4.不思議に開かれた本をテーブルに立てる。


5.庭の向こうに隣の家を建て、灯りをともす。
  かすかにスープの香りが漂ってきたら、出来上がり。

  

調理のコツ
*日の沈む音を聴きながら。

夕闇に染まる庭
窓辺の花にお水を
本から滲む影
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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