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風景のレシピ #70 “Here”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #70 “Here”

調理時間:3時間

材料:
手:ひとつ
土:ひとつかみ
汚れた服:袖先ひとつ


1.長い徒歩旅行の中で立ち止まる。


2.手を見つめ、じーんと響く毛細血管の振動を確かめる。


3.その手で足下の土を拾い上げる。小石が混ざっていてもかまわない。


4.土の重みを感じながら、深く呼吸する。
  その息が風に乗り、どこまでも届くことを思い浮かべる。


調理のコツ
*手のひらを見つめながらも足裏の地面を感じる。

汚れて古びているが着馴染んだ服
かすかに地に落ちた手の影
土と手、どこか似たものどうし
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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