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風景のレシピ #53 “カイヅカイブキ”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #53 “カイヅカイブキ”

調理時間:3時間

材料:
公園:ひとつ
カイヅカイブキの木:一本
草地:一面
ビル街:適宜
鳥の声:かすかに


1.ビルに囲まれた小さな公園をつくる。
  上空から鳥の声をうっすらとふりかける。
  時間はちょうど昼下がり。


2.園の中心にカイヅカイブキを植樹する。
   木の幹と葉を螺旋状にねじりながら、ゆっくりと育てる。


3.地面には木の影を落とし、まばらに草を生やす。


4.樹形を丁寧に整える。
  ひそかな針葉樹の香りが漂い始めたら、できあがり。


調理のコツ
*そこに働きかける見えない力を意識しながら。


竜巻のようにねじれた幹
雨上がりの公園 
木の隙間から空が見えた
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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