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気候変動 今すぐ読めば間に合う Vol.080

【 今なら地球温暖化は止められる!今すぐ始める私の脱炭素アクション !! 】

     Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に
                       2022年01月24日 第080号
ダボス会議:理解と実行の間の大きな溝
 ダボス会議と呼ばれている「世界経済フォーラム」という、世界を代表する政治家や実業家が一堂に会して討議する総会があります。毎年1月にスイスのダボスで開催されていますが、昨年はコロナ感染の拡大の関係で2回延期の末中止になり、今年も1月に予定されていましたが夏まで延期されています。
 この会議で作成している、Global Risk Report という報告書では、今後10年で最も深刻な世界規模のリスクについてのアンケート結果を公表しています。それによると、下図(スクリーンショットで英語なのはご容赦)の通り、1位が気候変動への対応の失敗、2位が異常気象、3位が生物多様性の喪失となり、世界のリーダーは気候変動関連リスクを最も懸念しています。7位と8位にもそれぞれ人為的な環境災害と天然資源の危機が挙げられ、上位10リスクのうち気候変動関連が5つを占めています。さらに5~10年後に深刻な脅威になるリスクという問いでは、これらが1位から5位を独占しています。

Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に― 2022年01月24日 第080号 - 上
Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に― 2022年01月24日 第080号 - 図

 気候変動問題に関わっていて理解できないのは、世界のリーダーがこれだけリスクを認識し、またCOP26で1.5℃目標に合意しているにもかかわらず、温室効果ガスの排出が増加し続け、リスクが拡大していることです。気候危機の解決には2030年までの10年が重要だと言われながら、残りは8年を切りました。2020年にコロナで温室効果ガスの排出は約7%減ったものの、コロナからの経済復興と共に昨年は2019年とほぼ同じレベルまで増加しています。
 私は人間と他の動物を区別するものの一つとして、いま目の前にないことを想像する力があると思います。自分に起こったことは他人にも起こるかもしれないとか、今起こっている小さな事象が将来大きく拡大してしまうかもという考え方です。上記のアンケートの結果を見る限り、この人間の特性は機能しているようです。問題は解決策を実行していないことで、この背景には他の国やライバル会社より先んじると損をするという考え方や、自国の経済発展を優先したいという途上国の切実な状況、困れば人間は新しい技術を開発できるのだという楽観的思考があるように思います。
 気候変動の深刻さを考えると、解決策と経済成長が両立できるという楽観的「デカップリング」論に頼るのではなく、私たち、特に先進国が多少の痛みを覚悟する時期が来ているのではないでしょうか。
                              横山隆美

出典 )Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に― 2022年01月24日 第080号 - 下

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