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気候変動 今すぐ読めば間に合う Vol.077

【 今なら地球温暖化は止められる!今すぐ始める私の脱炭素アクション !! 】

     Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に
                       2021年12月13日 第077号
剛腕CEOの言葉
 私が2017年まで42年間勤務した米国金融グループAIGに、2005年まで38年間CEOを務めたグリーンバーグという剛腕経営者がいました。AIGはその絶頂期にトリプルAに格付され、米国を代表する株式指標NYダウ30銘柄に選ばれたほどでした。そのグリーンバーグ氏が会議でよく使った言葉が、気候危機問題にも当て嵌まると思われるのでご紹介します。

 まず、「時間は敵だ」(Time is enemy.)です。企業経営では他社より先に新しいことを実行することが大事です。実行に時間がかかっていると、こう言われました。
 温室効果ガスであるCO2は排出されると100年以上大気中に留まります。従って気候危機では、対策を実行しないで排出を続けると、状況がどんどん悪化します。加えて、ある状況まで悪化すると温暖化が止まらなくなる点(ティッピングポイント)を超えて、取り返しがつかなくなります。グテーレス国連事務総長が「今後10年が決定的な10年」だと訴えている通り、気候危機解決は正に時間との戦いです。

 「ダメな奴と比較するな」(Don’t compare with the mediocre.)これは自社の業績が同業他社より良いと報告した時に出た言葉です。確かに他社が好業績でそれをなお上回っているなら兎も角、あまり褒められたものでない他社の業績より良くても評価できません。
 気候危機対策でも、他国の排出削減より日本の方がましだとか、日本が東南アジアへの石炭火力の輸出をやめても、中国が参入するだけだなどという意見があります。追求すべきは世界の排出量を減らすことであり、他国がどうあれ自国の責任を果たそうという気概が必要です。排出削減に消極的な国と比べて対策を作っていたら、解決に時間がかかるだけで手遅れになります。

「楽観的希望で経営をするな。」(Don’t manage by hope.)今後の業績見通しを語るときに、新商品が出るから改善するというような説明に対してガツンと来ました。新商品は売れるかどうか分かりません。売れなかった時に備えた対策を準備する必要があります。
 日本政府の対策を見ていると、石炭火力をアンモニアの混焼で排出を減らすとか、CCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)の開発に頼っている面があります。これらの技術はまだ実用化されておらず、今すぐの削減に対応できません。アンモニアを燃やしたら窒素化合物が発生しますが、環境に対する影響は分かりません、CCUSなどは米国で失敗していますし、回収したCO2を東南アジアの国に送って貯留するという虫の良い計画で本当に大丈夫なのでしょうか。また、仮に実用化できても価格が高くなることは明らかであり、風力や太陽光より競争力が劣ったら意味がありません。
 いま実用化されている技術で温室効果ガスの削減は可能だと言われています。何故そうしないのか、グリーンバーグ氏にガツンとやって欲しいくらいです。
                              横山隆美

出典 )Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に― 2021年12月13日 第077号

ここまでお読みくださり、ありがとうございました m(_ _)m by 350クルー.


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