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気候変動 今すぐ読めば間に合う Vol.079

【 今なら地球温暖化は止められる!今すぐ始める私の脱炭素アクション !! 】

     Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に
                       2022年01月10日 第079号
2022年:気候危機を緩和できるか極めて大事な年
 12月3日に7日間平均の新型コロナ新規感染者数が11人まで減少し、友人とワインを飲みながら語る普通の生活に戻りかけたところ、1月8日には1日で1,224人、7日間平均で502人に急増。双六で、「振り出しに戻る」にコマを進めてしまった感があります。
 重症化リスクが低いと思われるのは朗報としても、感染の猛スピードを考えると入院患者の絶対数はそれなりの数になりそうで、また医療関係者への感染も出て、他の病気の患者の治療や救急医療への影響が懸念されます。こうなると経済の回復との両立がまた難しくなってきました。

 同じような問題が気候危機にもさらに大きな規模で起こっています。
 昨年11月のCOP26で世界の気温上昇を1.5℃までに抑えるという合意がされました。その頃から、欧州で風が吹かなかったことから風力発電量が減少し、天然ガスなどの化石燃料で補完せざるを得なくなりました。一方供給の方は脱炭素社会への移行が明確になっていることから、新規の化石燃料開発に資金が回らなくなり、需給のひっ迫から天然ガスの価格高騰を招いています。最近のカザフスタンの政情不安は、燃料不足による価格上昇が引き金になっているようです。
 このような状況からEUが近々決定する予定の、投資対象が持続可能性に貢献するか否かを分類する「タクソノミー」で、天然ガスと原子力発電を「グリーン」に判定するという案が物議を醸しています。

 これらの動きは深刻な問題で、気候危機対策を後退させる可能性があります。地球温暖化の国際研究である「グローバル・カーボン・プロジェクト」によれば、二酸化炭素の排出量は2020年にコロナの影響で減少したものの、2021年にはコロナ前の水準近くまで戻っています。その上に上記のような要素が加われば排出は減らず、1.5℃目標は絵に描いた餅になってしまいます。
 当たり前ですが、温暖化は人間の都合を考慮して待ってくれません。こうしている間にも気温は上昇し、豪雨や森林火災などの自然災害は増え、海面は上昇し、様々な生物の生存が脅かされます。
 昨年のIPCCの「自然科学的根拠」に関する報告書に続き、今年2月には「影響・適応・脆弱性」の報告書、3月には「気候変動の緩和」の報告書、9月に統合報告書が出されます。昨年の報告で気候危機が深刻化していることが明らかになり、それが1.5℃目標の合意につながりました。今までの経緯を見ると、これから出る報告でも同様に気候危機が高まっていることが発表されると思われます。
 1.5℃目標の達成には2030年までに二酸化炭素の排出を半減させる必要があります。地球の気候環境と生態系を守るために、脱炭素化しなければならないのには疑いがありません。

 こうしてみると、今年は経済と気候危機対策のせめぎ合いが厳しくなりそうですが、世界が将来世代のことを考えて、持続可能な地球環境を残すことを最優先すると合意できる1年にしたいものです。
                              横山隆美

出典 )Before It’s Too Late 通信 ―手遅れになる前に― 2022年01月10日 第079号

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