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20240403「春色の杖」

よく鳴く声は
起きる前に歌っている
小さな集落にいては
ひとり勝ちの朝で
眠たげなまどろみで
うとうとして
春を過ごしている
もう咲いてもいい頃なのに
まだかと待ってるうちに
いつの間にか満開を迎える
新しく来た人と
出て行った人で
何を見て
何を見ずに
響く声音を聞くのだろうか
時に渋り
時に咲く

解けた水を下へと送り
ぶつかった研磨で
透明さを増しながら
泥をも含んで
合切を流す
黄色い粉で
霞む景色で
春色は更に濃くなっている
綻びの力が一斉に開き
その恩恵をわずかに得ている
その上のその下の
目に見えない所まで行き渡り
清々しい風を吹き渡らせている
冬仕舞いを少しずつしつつ
身軽になって服の色を替えて行こう
どこにだって行けるのだと
そう思っておこう 

冷たい雨でも
地面のふくよかさで
植物たちが繁茂する
些細な近眼と
遥かの望遠で
見回す朝と昼
昼からの仮眠で
夕べをなだらかに過ごす
夜は夜で月を見たり
星を眺めたり
焚き火を見つめながら
物語を紡ぐ
変転の最中
それでいて
動けもせずに
立ち止まり
また次の場所へと移るのだろう

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