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バルセロナから水戸まで。eスポーツチームを設立したサッカークラブまとめ

市場規模が年間20%近い成長率で拡大し、オリンピック競技になる日も近いと言われるeスポーツ。2018Q2だけでも500億円近い投資・投機が行われたというデータもあります。

そんな中、世界中のプロスポーツクラブが自前のeスポーツチームを結成するトレンドが顕著に。

今回はサッカークラブにスコープを絞り、彼らの挑戦をまとめました。

サッカークラブがeスポーツチームを作る理由

時代の流れとともに、あらゆるビジネスの定義が見直されてきた昨今。サッカーをはじめとしたスポーツクラブも例外ではなく、伝統的なチケット収入以上の多角的な事業ポートフォリオを形成するケースが増えています。

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FIFAやウイニングイレブン (PES) など世界的人気を誇るゲームがすでに存在することからも、サッカーとeスポーツの相性は良いと言えるでしょう。

EA Sportsやコナミなどのゲーム会社もクラブとのタイアップには積極的で、eプレミアリーグなどの国内大会から世界的なチャンピオンシップまで様々なプラットフォームを提供しています。

そこで今では多くのクラブがeスポーツ選手や監督と契約し、幅広い人々とのタッチポイントを築いています。チームの結成法は大きくわけて以下の二つ。

1. 通常のサッカーチームと同じく、1年以上の長期契約を結ぶ
2. 個々の大会にあわせて即席チームを作る

なお、今回のまとめでは方法1をとったクラブのみをピックアップしました。

大会が開かれていない間の給料を払わなくてよい=固定費がかかりにくい方法2をとるクラブ多い中、方法1を選ぶのは「本気で」eスポーツに取り組んでいる証拠だと考えたからです。

では早速みてみましょう!

プレミアリーグ

マンチェスター・シティ

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ゲーム:FIFA
所属選手:7人


プレミアリーグのメガクラブ、マンチェスター・シティがキーラン・ブラウン(写真左)を契約したのは2016年のことでした。彼はクラブ初の専属のeスポーツ選手で、その後もイギリス国内や中国の実力者を次々と獲得していきます。
eプレミアリーグでの成績は芳しくないものの、今年5月のUKマスターズでは2位に食い込むなど話題性十分のチームでしょう。
ちなみに、サッカーチームに所属するラヒーム・スターリングやフィル・フォーデンなども選手間のFIFA大会で優秀な成績を残しています。

ウエストハム・ユナイテッド

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ゲーム:FIFA
所属選手:3人


ロンドンの東、トラッドフォードに本拠地を構えるウエストハム・ユナイテッド。彼らもマン・シティと同じく2016年にeスポーツチームを設立しています。
たった3人のプレイヤーで、今年夏の大会(eプレミアリーグとFIFA20サマーカップ)の上位入賞を果たしました。アルゼンチン出身のジャゴ(写真左)は20歳のスター候補。

セリエA

ASローマ

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ゲーム:FIFA
所属選手:0人


イタリア・セリエAの盟主といえば9年連続優勝中のユベントスかもしれませんが、eスポーツの領域ではローマに軍配が上がるでしょう。
2017年のチーム設立時にアメリカ人のコリン・ジョンソン(下の写真・左から2番目)を監督として招聘。のべ12人以上の選手と契約し、今年のFIFA eクラブ・ワールドカップでは準決勝に進出するほどの強豪に成長しました。
現在はチームを再編中で、eスポーツ界のモウリーニョと呼ばれるジョンソン氏の手腕に注目です。トッティと写真撮れるっていいなあ。

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ラ・リーガ

FCバルセロナ

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ゲーム:ウイニングイレブン、ロケットリーグ、FIFA
所属選手:8人


レアル・マドリードと共に世界一のクラブと並び称されるFCバルセロナ。クラブの現役レジェンド、ジェラール・ピケが主催するウイイレリーグに参加しています。
ロケットリーグ(車でサッカーをするゲーム)にも積極的に参入する一方、中国のテンセント(WeChat、LOLなどを保持。コナミとは競合関係にある)とのパートナーシップ締結に踏み切るなど非常にしたたかな面も。

バレンシアCF

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ゲーム:FIFA
所属選手:2人


スペインの中堅クラブ、バレンシアCF。かつてはリーグ・オブ・レジェンズ (LOL) のチームも保有するなど、実はeスポーツに積極的な姿勢を見せています。
FIFAに関しては、2019年に加入したビビ(写真左)が2度のスペイン王者に輝くなど文句のつけようがない成績でしょう。チーム公式Twitterは2万人以上のフォロワーを誇ります。

リーグ1

パリ・サンジェルマン (PSG)

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ゲーム:FIFA、DOTA2、リーグ・オブ・レジェンズ、Brawl Stars
所属選手:23人

野心的な試みを多く仕掛け、単なるスポーツクラブの域を越えつつあるパリ・サンジェルマン。そんな彼らがeスポーツを放っておくわけがありません。
なんとCGO(最高ゲーム責任者)というポストまで用意し、メインスポンサーにスポーツベッティング大手のBetwayを据えるなど、通常のサッカーチーム顔向けの布陣。FIFA以外にもDOTA2やLOLの大会にも参加しています。
今年Brawl Starsチームにジョインした日本人、ヨウ・コグレ (Relyh) 選手の活躍にも期待!

ブンデスリーガ

バイエルン・ミュンヘン

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ゲーム:ウイニングイレブン (PES)
所属選手:3人


19/20シーズンのチャンピオンズリーグを制覇したドイツのメガクラブは、なんとウイニングイレブン (PES) の世界に殴り込みをかけています。
3人の選手はスペイン、監督はオーストリアから獲得。アウディやTモバイル、そしてアリアンツなどの大型スポンサーをバックに急成長を遂げているそう。
公式Twitterも盛り上がってます。

シャルケ04

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ゲーム:リーグ・オブ・レジェンズ、ウイニングイレブン、FIFA
所属選手:10人


ヨーロッパのeスポーツを語るうえで、シャルケの貢献は欠かせません。2016年にLOLのチームを設立して以来、LEC(LOLのトップリーグ)で結果を残し続けています。
2018年夏のプレーオフでは2位に輝き、5万ユーロの賞金を手にしました。マネージャーやアナリストの人材も積極的に採用している点からもクラブの本気度が伺えるでしょう。
最近開設されたウイイレやFIFAのチームにも注目が集まります。

ヴォルフスブルク

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ゲーム:FIFA
所属選手:3人


ヴォルフスブルクは、ドイツではじめてeスポーツに参入したクラブです。
設立当初こそ結果に苦しみましたが、今年のバーチャル・ブンデスリーガでは準決勝進出を果たすなど徐々に強豪として頭角を現しています。

Jリーグ

横浜F・マリノス

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ゲーム:シャドウバース、ウイニングイレブン、FIFA
所属選手:4人


名門、横浜F・マリノス。理念である「夢」「感動」「興奮」を届けるとともに、クラブのタッチポイントを増やすことを目的にeスポーツチームを設立しました。日本で人気を博しているシャドウバースの有力選手を獲得するだけでなく、NTT東日本とeスポーツ教育コンテンツ事業にも参入。ダイナミックな動きを見せています。

東京ベルディ

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ゲーム:FIFA、ウイニングイレブン
所属選手:10人


Jリーグでeスポーツに最初に参入したのは、東京ベルディでした。
クラブの下部組織で育った生え抜き選手のほか、2019年に行われた国体文化プログラムで初代チャンピオンに輝いたゴラゾー選手(写真右)も所属。FIFAやウイイレに関して右に出るクラブはいないでしょう。
スペインのエイバル(乾、武藤選手が所属)とも対戦するなど、早くもグローバルな戦場に足を踏みいれている強豪です。

水戸ホーリーホック

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ゲーム:ウイニングイレブン
所属選手:2人


J2に所属する水戸ホーリーホックは、今年7月にはじめてeスポーツチームを結成しました。nomo選手(写真左)とウラえもん選手(右)はともにフランチャイズ(地元・茨城県出身)プレイヤーで、地域密着型のアプローチを取っています。
今年12月に開催予定の「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」での活躍にも期待ですね。

鹿島アントラーズ

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ゲーム:FIFA
所属選手:1人


今年の1月15日、鹿島アントラーズはeスポーツチーム設立とナスリ選手(写真左)の獲得を発表。eスポーツ日本初代代表でもある同選手は、FIFAサマーカップシリーズアジア大会で準優勝を収めるなど世界的な実力者です。

その他の地域

アヤックス(オランダ)

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ゲーム:FIFA
所属選手:6人(うちローン移籍中1人)


3度のeディヴィジ優勝を誇るアヤックスは、eスポーツにおいてもオランダを代表するチームです。部長がマンチェスターユナイテッドやユベントスで守護神を努めたレジェンド、ファン・デル・サール氏というアツい布陣は高ポイント。(彼はアヤックス全体のCEOでもあります。)
豪華なクラブハウスに5カ国からエリート選手を招集しています。ちなみにファン・ウデン選手はJリーグのサガン鳥栖にローン移籍中とのこと。eスポーツならではのインターナショナルな移籍市場も面白いですね。

ベジクタシュ(トルコ)

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ゲーム:リーグ・オブ・レジェンズ、PUBG
所属選手:5人

ヨーロッパのサッカークラブとしてはじめてeスポーツチームを作ったと言われるトルコの名門ベジクタシュ。
まだまだ珍しいレディースチームとして注目を集めたLOLチームは数々の大会で上位入賞したものの、給料未払い問題が発覚するなど波乱のうちに現在は活動を休止中。現在はPUBGのメンズチームがほとんどの活動を担っています。

スポルディングCP(ポルトガル)

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ゲーム:FIFA
所属選手:4人

クリスティアーノ・ロナウドがキャリアを始めたクラブとしても有名な、スポルディングCP。
2019年にはプスカシュ賞受賞歴を持つリラ選手を獲得し、今年夏のFIFAサマーカップEUでベスト8に輝きました。

FCコペンハーゲン(デンマーク)

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ゲーム:カウンターストライク
所属選手:6人


「NORTH」は、デンマークの強豪FCコペンハーゲンとノルディック・フィルムズ(エンターテイメント会社)の提携によって2017年に誕生したeスポーツチームです。
カウンターストライクというシューティングゲームを専門に、ヨーロッパで6回の優勝・総獲得賞金1億円を超えを達成。北欧のeスポーツをリードし続けています。

サッカークラブとeスポーツの今後

いかがでしたか?僕が調べながら感じたのは、eスポーツ界の勢力図がまだ確立していないという点でした。

メガクラブだからといって必ずしも良い成績を残しているわけではなく、Jリーグなどの新興クラブとPSGやバルセロナなどの実力差は比較的少ないといえます。ウイイレの世界において、J2の水戸ホーリーホックがバルセロナを倒すことは夢物語ではないのです。

反面、課題なのは本物のサッカーとのつながり。選手間の交流や事業のシナジーはまだまだ乏しく、このままでは費用対効果の面からeスポーツ撤退に至るクラブが増えていく可能性は高いでしょう。

年齢や性別、そして障害の有無などに影響を受けにくいeスポーツ。オープンでグローバルな戦いに期待していきましょう。

それではまたー!

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この記事を書いた人

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Neil(ニール)
ecbo (荷物預かりプラットフォーム) とプログリット (英語コーチング) でUI/UXデザイナーとしてインターン。現在はIT企業でデザイナー。 ハワイの高校。大学では法学を専攻。もともとはminiruとしてnoteを運営。

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