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育児と介護のダブルケア~ダブルケア月間の講演録(私がダブルケアに目を向けるようになった理由と、ケア役割)の話

怒濤の如く忙しかった5月中旬~6月はじめでした。
ちょっとだけ一息つけたので、この週末で自分らしさを取り戻しました。

今日は、今年2月に開催された「ダブルケア月間」のオープニングクロストークの講演集の話を書きたいと思います。

2月2日は、ダブルケアの日。
私が主催している団体の設立日も、偶然ですが2月2日なのです。
私も掲載して頂いております。

ダブルケア月間とは


ダブルケア月間とは、このチラシに記載してありますが、ダブルケアの認知度を高めるために有志の皆様が実行委員会を立ち上げ、全国のダブルケアラー支援団体と連携をとり、様々なイベントを開催しました。

私は、この実行委員会の皆様も全員よく存じておりますし、普段の支援活動等でもとってもお世話になっております。このダブルケア月間のために、大変なご尽力で、その熱量たるや半端なかったです。
このような情熱があってこそ、成功できるのですよね。ダブルケア月間、大盛況でした。実行委員会の皆様、本当にありがとうございました。

私の主催するDC NETWORKというダブルケアラー支援団体も賛同し、イベントを企画しましたし、私も医療界代表として(恐れ多い・・・)、オープニングクロストークに参加させて頂いたのです。

ダブルケア月間クラウドファンディングの返礼品。クリアファイル、バッグ、そして開催記念講演録。2冊あるのは、1冊が返礼品、もう1冊は出演者用に頂戴しました。

この講演録は、クラウドファンディングの返礼品なので、一般には出回っておりません。そこで、私が医療職代表としてどんな話をしたのか、noteにて紹介したいと思います(許可を得ております)。

以下、引用はこの「ダブルケア月間実行委員会様の開催記念講演録」です。
私の方で加筆修正を加えております。


なぜダブルケアラー支援団体を立ち上げたのか


私は助産師で、今は大学の教員として看護学生を育てる立場です。そして、DC NETWORKという多彩なダブルケアラーの皆様を支える医療専門職による団体も立ち上げて活動しております。

 私自身が近年気になっていたのが、妊娠中の方に「産後は、どなたが育児のサポートしてくださいますか」という確認を行うと「両親が高齢で老老介護をしているので、産後、両親には頼れない」というような発言が増えてきている印象を抱いておりました。

 さらに、「もしかして、このままいくと私が介護しなくてはいけないかもしれません」などという言葉が聞かれることも多くなってきまして、育児をするだけでも大変なのに、そこに介護が重なったらどれだけ大変になるかと非常に気になっていたのです。

 具体的には、産後は母体を十分休める時間が必要ですし、初めての育児でしたら慣れないことで戸惑いや不安も多い中で、さらに介護が重なるということはどれだけ心身ともに負担になるのだろうかと心配になったことが、私自身がダブルケアに目を向けるきっかけになりました。

 実際に、妊婦さんでもどうやらダブルケアラーの方がいらっしゃるようで、私は直接、ダブルケア真っ最中の妊婦さんとお話ししたことはないのですが、過去、妊婦のときにダブルケアの経験があった方のお話を聴いたことがあります。

 妊娠中は重いものを持ったり、体に負担がかかるようなことはあまりしないほうがよかったりするのですが、例えばお腹が張ってくる、いわゆる子宮収縮があって「安静にしてください」と医師からは言われたけれども、ふだん介護していて安静にする時間も取れないということで、「安静にするのはちょっと難しいんです」と言っても「安静にしてください」と言われて終わってしまったそうです。

 結局そのときにどうすればいいのかが分からなかったし、話したところで「安静にしてください」と言われるだけなので、言ってもしょうがないのかな、と思ってしまって、病院に行ってもだんだん言わなくなってしまったそうです。

 その話を聴いたときに、妊娠中にダブルケアという方をケアしていく視点というのを、産科医療に携わる者としてもっと幅広く知っていただく必要性があると考えております。

 他にも、ふだん介護されている高齢者の方が医療機関を利用されたり、入院されるということも多々あります。

 入院されている間は病院のスタッフが看てくれるのでほっとしますというお声も頂戴するのですが、入院中はそれでも病院に来なければいけない機会が度々あったりしますよね。医師からの病状説明だったり、洗濯物を届けてくださいとか、必要なものがあってサインしに来てくださいとか、思った以上に、病院に足を運ばねばならないこともありますよね。

 ダブルケアラーの皆様というのは、介護のみならずふだん子育てもしておりますよね。病院に行くのに1時間ぐらいかかるから、呼ばれると、その時間を工面するのがとても大変で・・・といったお声も頂戴することがありますので、医療者としてダブルケアラーの皆様にお声かけしていったり、配慮していく必要性を日々とても感じています。

 あと最後に、内閣府の調査(※)でも、例えば医療的ケアが必要であるお子さんと、きょうだい児の子育てをされている方もダブルケアの定義に含まれる方となっておりますが、こちらに関しては日々医療を利用されている方々ということで、医療的ケア児ときょうだい児の子育てをされている方の支援を日常的に行っているDC NETWORKのメンバーもおります。
 
 そういったダブルケアラーの皆様の中には、きょうだい児が、さらに医療的ケアが必要なお子さんに対してヤングケアラーとしてケアに携わっているというお話も伺っておりますので、そのようなご家族への支援というところも、今、私どももいろいろ考えているところです。


※内閣府の調査結果はこちら

https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/ikuji_point.pdf



ダブルケアの大変さ


育児だけでも大変、介護だけでも大変なのに、その両方が重なる大変さを想像してみてください。
そして、その負担は、女性に多くのしかかっているのです。
最近、公開されたこちらのコラムもお読みください。
日本におけるダブルケア支援の草分け的存在、植木美子さんの記事です。


ダブルケアラー支援と研究に取り組んでいる理由


私は、育児や介護、家事といった「ケア役割」を女性が引き受けがちで、負担になっても周囲からそれは当然、という目で見られて苦しさを表に出せなかったり、また、仕事の継続を諦めて退職してしまう現状をどうにかしたいと思っております。

それもあり、「男性の育児と介護」の研究に取り組んでいるのです。

男性もまた、育児や介護といったケア役割を担うことと、周囲から求められる男性像(男性は、こうあるべきという姿)にギャップを抱え、苦しんでいることもあります。ケアをしたいと考えている男性も、実は少なくないのですが、このギャップがストレスになり、ケアへの参画を阻む要因にもなっております。

ダブルケアラーの負担を少しでも軽くするためには、男女関係なく「ケア役割」を担うことと、社会的な支援の両方が必要です。
家庭内でどうにかしなければならない、と全てを背負ってしまうことからも助けなくてはならないのです。
家族のことは私的なことだからと、全て家族が担わなければと考えている人も少なくないのです。そして、家族のことだからと誰にも言わずに抱えている人も少なくありません。

私は、上記の植木さんをはじめとし、ダブルケアラー支援団体の皆様方と繋がりを持ちつつ、DC NETWORKにおける活動を行っております。
まだまだ、これからです。

もしかして私もダブルケアラー?!ダブルケアしているのかも?!と思ったら


読者の皆様も、ダブルケア・ダブルケアラーに関心を寄せて頂けますと有り難いです。そして、「もしかして、私もダブルケアラーでは?」と思った皆様、全国各地に支援団体があります。

・・・どこかにまとまっているサイトがあった気がしましたが・・・
見つけたら、また、紹介します。

せっかくなので、私が主催のDC NETWORKのHPとブログを貼りますね(前にも貼りましたが、何度でも貼ります)。
ダブルケアラーの皆様が集まる「DC Cafe」というダブルケアカフェ(お話し会)も開催しています。
ブログやTwitterでお知らせしますので、是非ともチェックしてみてください。


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