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読書記録

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僕が読んだ本の感想や印象的なフレーズが書いてある記事です。
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2023年2月の記事一覧

#24『リバース』(著:湊かなえ)を読んだ感想【ネタバレなし】

湊かなえさんの『リバース』 TBSでテレビドラマ化され、湊さんが長編小説で初めて男性を主人公にした作品でもあります。 あらすじ感想湊かなえさんの作品で1番印象的な作品になった どんなに親しい相手でも、知らないことはたくさんある 読み終わってからしばらく放心状態? 本作の主人公は、平凡な会社員である深瀬。 深瀬の交際相手の美穂子に深瀬は人殺しだという告発文が届くところから物語が動いていきます。 実は深瀬には、学生時代に旅行に行ったときに不慮の事故で亡くなった友人の広沢

#23『夜のピクニック』(著:恩田陸)を読んだ感想

恩田陸さんの『夜のピクニック』 2005年(第2回)本屋大賞、第26回吉川英治文学新人賞受賞作です。 青春小説の中でも人気作の1冊です。 あらすじ感想貴子や融の内面の変化、温かく熱い友人たちとの語らいに夢中になって読んでいた 今この時を大事に生きていこうと思った1冊 本作の舞台は、丸1日かけて80キロを歩く北高の伝統行事「歩行祭」。 ただ歩くだけで、外側では何か劇的な展開があるわけではありません。 主人公の貴子が行おうと胸に秘めていたある賭けも、決して衝撃を受ける

#22 『早朝始発の殺風景』(著:青崎有吾)を読んだ感想

青崎有吾さんの『早朝始発の殺風景』 「青春は、気まずさでできた密室だ」のフレーズが響いたのがきっかけで手に取った1冊です。 あらすじ感想青春時代の気まずさ、爽やかさ、甘酸っぱさ、暖かさがぎっしり詰まっている1冊 どの短編もラストが印象的で読了後の余韻も良い 『早朝始発の殺風景』は「密室」がテーマの青春短編小説。 どの短編も、何気ない日常のどこか気まずさを感じる場面が描かれています。 そこから登場人物の謎が明かされていくミステリに変わる展開にワクワクしました。 (ミ

#21 クイズの見方が変わる1冊『君のクイズ』(著:小川哲)を読んだ感想

小川哲(おがわ・さとし)さんの『君のクイズ』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 あらすじ感想クイズの見方が変わる1冊 自分の過去は、良いことでも嫌なことでも後になって活きることを学んだ 本作では、主人公の三島玲央が、決勝戦での問題や三島と本庄の過去を探りながら、『Q-1グランプリ』の真相を追求していきます。 クイズといえば知識量の差で決まると思っていた僕。 確かに知識があることに越したことはないけど、クイズの強さは決して知識の量で決まるものではない

#20 バカみたいに笑える痛快コメディ『店長がバカすぎて』(著:早見和真)を読んだ感想

早見和真さんの『店長がバカすぎて』 書店が舞台であることや目に付いてしまうタイトルで、以前から気になっていた作品です。 2020年の本屋大賞ノミネート作にも選ばれました。 あらすじ感想バカみたいに笑えて、いつの間にか悩みも吹き飛ぶ1冊 でも、それだけではない? 小説でこんなにバカみたいに笑うとは思いませんでした。 笑いを我慢するのが大変かもしれないので、人がいる所で読むのには注意が必要?です(笑) 山本店長の空気の読めなさ、図々しさ、意味のわからなさ。 つまり

#19 見えない繋がりが生む感動のラスト『月の立つ林で』(著:青山美智子)を読んだ感想

青山美智子さんの『月の立つ林で』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 本作で3年連続のノミネートで、一昨年、昨年と2年連続で2位を獲得しています。 (本屋大賞2年連続2位は史上初) あらすじ感想自分のおこないは何かに繋がったり、誰かのためになると思わせてくれて、何事に対しても前向きになれる1冊 目に見えない繋がりが生んだラストに感動! 久しぶりに青山ワールドを堪能しました✨ 青山さんの作品といえば、登場人物たちが繋がる短編集。 読了後は、優しい気

#18 『天龍院亜希子の日記』(著:安壇美緒)を読んだ感想

安壇美緒さんのデビュー作『天龍院亜希子の日記』 第30回小説すばる新人賞受賞作です。 『ラブカは静かに弓を持つ』をきっかけに安壇美緒さんの他の作品を読んでみたいと思い、読んだ作品です。 あらすじ感想何気ない日常を描いているのに、思わず見入ってしまう? 主人公の田町譲が小学校の同級生である天龍院亜希子のブログを見つける。 そこから場面ごとに亜希子のブログ記事が出てくる。 思わず気になってしまうブログ記事。 なにか不穏な感じがして、終盤に何かが起こるだろうと思ったら……

#17 料理は心を温かく満たしてくれる『宙ごはん』(著:町田そのこ)を読んだ感想

町田そのこさんの『宙ごはん』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 町田そのこさんは、2021年に『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞。 今回で3年連続のノミネートになりました。 あらすじ感想重めの展開だけど、心を温かく満たしてくれる物語 前を向いて生きていけるヒントをもらった 食べ物に関する作品は心が温まる物語のイメージがあります。 『宙ごはん』も心が温まる物語ではありますが、目を背けたくなるくらいの展開がありました。 5話構成の『宙ごはん

#16 単なる紀行エッセイではない!『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(著:若林正恭)を読んだ感想

若林正恭さんの『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』 先日読んだ『ナナメの夕暮れ』がとても面白く、他のエッセイも読みたいと思い手に取った1冊です。 図書館から借りた本を読みましたが、手元に残したいと思える素敵な作品だったので、改めて購入しました。 あらすじ感想単なる紀行エッセイではない! 小説のような感動が味わえる? 本作は、若林さんによる紀行エッセイ。 キューバ、モンゴル、アイスランドに行った時の様子が描かれています。 (モンゴル、アイスランドは文庫版で追加

#15 優しく落ち着きのある感動に包まれた『ラブカは静かに弓を持つ』(著:安壇美緒)を読んだ感想

安壇美緒さんの『ラブカは静かに弓を持つ』 第6回未来屋小説大賞を受賞し、2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品にも選ばれています。 ※4/12追記 『ラブカは静かに弓を持つ』が2023年(第20回)の本屋大賞の2位になりました。おめでとうございます! あらすじ感想優しく落ち着きのある感動 素敵な演奏を聴いた時のような余韻 僕は小説を読むとき、登場人物に感情移入をするタイプです。 同じように人付き合いが苦手なのもありますが、主人公の橘にこれほど感情移入したのは最

#14 アイドルの見方が変わる?『武道館』(著:朝井リョウ)を読んだ感想

朝井リョウさんの『武道館』 過去にアイドルを応援していたことがきっかけで手に取った1冊でしたが、予想以上に面白かったです。 あらすじ感想アイドルの見方が変わる1冊 僕はかつて、あるアイドルを応援していたことがあります。 今の言葉で言うなら「推し」がいたってことですね。 単にテレビやYouTubeなどで見ていただけでなく、県外へライブや握手会に定期的に行ったり、色んな企画を考えたり。 そんな中で見た本作。 懐かしい気持ちだけでなく、改めてアイドルの凄さを感じたり、新たな

#13 THE・どんでん返し『方舟』(著:夕木春央)を読んだ感想【ネタバレなし】

夕木春央さんの『方舟』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品で、SNSや動画サイトなどでも話題になっている作品です。 ※ネタバレはしないように感想をまとめました あらすじ感想まさに「THE・どんでん返し」 クローズドサークルの本作。 それだけでも緊張感がありますが、さらに助かるためには誰か1人が犠牲にならなければならない、その1人を選ぶ必要がある。 この設定により、さらに緊張感が増しました。 物語が進む中でも「えっ?」という展開があり、どういった展開になって