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「普通」の人ほどUXデザイナーに向いている

BEENOS株式会社デザイナーの伊東です。
2023年も終わりが近づいてきました。早いものです。

以前のnoteでも「デザイン」という言葉がとても広義なものであるという話はしましたが、UXデザイナーにはどんな人が向いてるのでしょうか?


デザイナーは特別な存在じゃない

ティム・ブラウンの『デザイン思考が世界を変える』のまとめの章で、デザイン思考家になりうる人の特徴を示すこんな一節があります。

世界を別の角度で見るきっかけになる、奇妙な経歴(あるいは奇妙なタトゥー)を持っているのは?このような人々は、原材料でもありエネルギー源でもある。

デザイン思考が世界を変える』ティム・ブラウン 著

「私はそんな奇妙な経歴のない普通の人だし…」
と思われる方もいるかも知れません。

デザイン思考の説明で「デザイナーが行う思考プロセスをビジネスに活用するもの」と簡潔に書かれているものを見ることがあるのですが、これだけ見るとデザインは素晴らしい、デザイナー至上主義のような何とも言えない気持ちの悪さを感じます。デザイナーが人とは違う考え方をしていて、人の考えつかない突飛なアイデアを思いつくことができる特別な存在かのような捉え方をされ兼ねません。

憑依できる人とできない人

まず、デザイン思考の5ステップの最初の段階には「Empathize(共感)」があります。人間中心設計やUXデザインプロセスの初期段階にある「調査」を行うためのユーザーインタビューにおいて最も重要だと言われるのが、この「共感」にあたります。

© Interaction Design Foundation, CC BY-SA 3.0

この「共感」は「うんうん、わかるわかるー」という姿勢を持つということではありません。共感的傾聴はそのための第一歩と言えますが、このステップでの共感はより相手の考えに踏み込んでいくものになります。

言い換えると相手に「憑依」するんです。

ペルソナ法のユーザーの設定も「40歳男性で、家族構成は妻と息子がいて、バイクに興味があって…」とキャラ設定をしてイメージをして終わらせるものではありません。

自分が何歳だろうが、性別がどうだろうが、未婚既婚に関わらず、40歳の既婚男性に「憑依」する必要があるのです。

以前にダウンタウンの松本人志さんがラジオでこんなことを言っていました。

憑依のできる芸人とできない芸人がちゃんと分かれていて。
ウッチャンはできるやろ。さんまさんはでけへんねん。
あの人は結局は何を演じていても「明石家さんま」なのよ。

TOKYO FM『放送室』松本人志・高須光聖 出演

この「憑依」できるできないは考え方によって得手不得手もありますし、自分が軸にある人ほどしにくいものになると思います。ある意味自分というものがフラットで、変なこだわりのない人の方が憑依には向いていて、憑依しやすい思考の持ち主と言えます。その先にはもちろんテクニック的なものもありますし、フラットな思考の持ち主だから誰でもできるというものではありません。それだけ高等なテクニックと言えますし、また、エクストリームユーザーの調査でない多勢の意見を持つ人を対象にする仮説検証であればあるほど、「普通の人」の方がペルソナに近い存在と言えるので、思考がフラットで普通の人の方が共感には向いているはずなのです。

だからと言って、周囲から「個性的」「変わってる」と言われる人がUXデザイナーに不向きなわけでもありません。共感を鍛錬とテクニックで補うことができれば、個性的な人のアイデア発想は武器になります。こういう人はただ突飛なアイデアを無から生み出せるわけではなく、物事を多角的に見ることが得意な人なんだと思います。

逆に、普通の人の多くは「私は共感はできたとしてもそんな突飛で素晴らしいアイデアなんて思いつかない」と思うでしょう。

これは、以前に私がnoteで書いた記事です。

脳の活性化がひらめきを引き出す

アイデアは個性的な人が何の脈絡もなく思いつく突飛な発想とは違います。

アイデアを作るためには、99%の努力が必要であり、更にその先に芽生える1%のひらめきが必要不可欠なのです。

努力の天才と言われるイチロー選手も先日高校球児にこのように言葉を送ったそうです。

野球に手品、マジックはない、とにかく積み重ねてモノにするしかない。仮に簡単に手に入った自信、そんなのはね、人としての厚みや重みは出ない。時間をかけて苦労して習得することが大事。
(中略)
努力はしないといけない、これは大前提。

シアトル・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター イチロー

努力を積み重ねた上での1%のひらめきを引き出すのにも技術が必要と言えます。努力や調査は得意だけど、ひらめきを起こす方法ががどうにもわからない方にオススメの方法があります。

それは「ランニング」です

私自身の実体験として、これは結構な信憑性があるのでぜひ試していただきたいです。私は週3〜4日、一回30分程度のランニングを続けているのですが、走っている間は仕事のことを考えていることが多いです。これはありがたいことに私の興味が仕事に向いていることもあり、この興味こそが99%の努力を作り出す最大の原動力になります。

脳科学や医学的な裏付けはわかりません。興味のある方はぜひ調べてみてください。そして私にもわかりやすく教えてくださいw

ただ、私がランニングの時に業務時間内で結論が出なかった、解決策の糸口も見つからなかった課題に対して、机の前では発想しえなかったことがひらめく瞬間があるのです。私はこれを何度か体験しているので、やはり走ることで脳内のどこかが活性化されて、通常時にはない働きをするのだと思います。走っている最中に点と点が結びつき、「これじゃん!ああ、もうこれで決まりじゃん!」くらいのアイデアが思い浮かびます。逆に、走っている最中は単純であっても計算したり、話を収束したりはとても向かない作業になります。机の前であれば少し考えればはじき出せる計算でも、走っている最中はまるでできなくなります。「この数字を一旦こっちに置いといて」ができなくなるのです。

そんなことで。

アイデア発想が苦手な方は走ってみることをオススメします。

机の前では出なかったアイデアがきっとひらめくでしょう。

ただ、気をつけないといけないのは

ここで思いつくことは、今まで考えもしなかった発想ではあるのですが、必ずしも正しいアイデアというわけではありません。思いつかなかったアイデアがひらめくだけです。

走り終わって冷静に考えると

ま、そんな上手くいかないわな…

と一気に冷めることもあります。

ただ、色んな角度からのひらめきが欲しかったり、新しいことを発見したい場合は本当にオススメします。

引き続きUXデザイナーを募集!

BEENOSでは引き続きUXデザイナーを募集しています。
普通の方でも、個性的な方でも、気軽にご連絡ください!


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