『ほんの小さな出来事』は、本当に『ほんの小さな出来事』だったのか?
あなたは『財津 和夫』と聞いて何の曲を思い出しますか?
そしてどんな風景が頭の中に膨らみますか?
私は、小さな頃に見ていたドラマ『ひとつ屋根の下』に出てくるロン毛で、黄色い帽子を後ろ被りにした江口洋介さんが真っ先に思い浮かんで来ます。
脳内で『財津 和夫』=『ひとつ屋根の下』=『あんちゃん』と瞬間的に変換されてしまうわけです。
それ位インパクトがあったドラマと主題歌だったとも言え、とにかく印象に残っています。
この感じは私に限った話ではなく、きっと同じくらいの世代(30代後半〜40代前半)の人には共感して頂ける話かと思います。
その理由は、当時『ひとつ屋根の下』の主題歌であった『サボテンの花』の歌詞を考察出来るほどの年齢では無く、恋愛すらもした事が無い小学生だったからでは無いでしょうか。
では、大人になりそれなりに恋愛や失恋なども経験してきた今、改めて『財津 和夫』の世界に触れるとどんな気持ちになるのでしょうか。
ここで一度、財津 和夫さんの名作『チューリップ / サボテンの花』を歌詞に注目しながら聞き直してみたいと思います。
温もりがある室内から、冷たい外へ
大人になって改めて財津 和夫さんの音楽に触れると、メロディは勿論の事、その歌詞の文学的な奥深さに魅了されます。
『チューリップ / サボテンの花』の歌詞の中で特に印象的だったのが『ゆれていた』という表現と、『降りそそぐこの雪のように』という表現の使い方でした。
この『ゆれていた』という表現には人の温もりがあった事を感じます。
一方で、『降りそそぐ この雪のように』という表現からは冷たく、もう人の温もりを感じません。
2人をつないでいた心が、何か自由に形を変えられる有形で体温ある生き物のように感じられる表現で、財津 和夫ワールドに誘われます。
サボテンの花が意味するもの
そのまま歌詞を先に読み進めていくと、彼女が大切に育てていたサボテンに小さな花が咲いている事に気が付きます。
そして、サボテンに花が咲いていた事を分岐点として、この歌の物語は未来へと向かいます。
このサボテンの花が意味した事とは一体なんだったのか?
サボテンの花は彼の心に何を訴えかけたのか?
最後は『生きる』という事が繰り返し使われ、大きなテーマとなる訳ですが、そうさせたのは彼女が大切に育てたサボテンが意味しているようにも感じます。
サボテンの花を咲かせる事は、決して簡単な道のりではありません。
毎日わかりやすい変化がなくても、いつか綺麗に花が咲く事を信じてサボテンに水をやり続ける。
そんなサボテンの花を咲かせる道のりのように、新たな人生をまた1から歩んでいこうと彼に思わせたサボテンは、彼女からの最後の予期せぬ贈り物となったように感じます。
当たり前の日常は、一人では生み出せない
『チューリップ / サボテンの花』の冒頭歌詞はこんな内容から始まります。
私達の恋愛や、人間関係、はたまた人生までも、この『サボテンの花』のように『ほんの小さな出来事』でどうにもならなくなってしなうのかも知れません。
ただ、それは本当に『ほんの小さな出来事』だったのでしょうか?
もしかしたら自分にとっては『ほんの小さな出来事』でも相手にとっては、『蓄積し続けた小さな出来事』だったかも知れません。
私達は1人では生きられません。
必ず自分を支えてくれる人がいます。
それは恋人なのか、家族なのか、友人なのか、全くの他人なのかはわかりませんが、直接的にも間接的にも私達は必ず誰かに助けられています。
恐らく『チューリップ / サボテンの花』は、そういった意図がある歌では無いとは思うのですが、私はこの歌の歌詞から当たり前の事を、当たり前と思わずちゃんと感謝する事の重要性を感じました。
その事を改めて理解した上で、私達はサボテンに花を咲かせるように、自分が夢中になれて、人に感謝される事をみつけて、いつか綺麗な花が咲く事を信じて自分の人生を愛でる事も大切なのかも知れません。
いつかその綺麗に咲いた自分の花を見た誰かが、未来にまた綺麗な花を咲かせるために・・・
私は財津和夫さんの『チューリップ / サボテンの花』に触れてこう解釈しました。
あなたは、財津和夫さんの『チューリップ / サボテンの花』に触れてどう受け取られましたか?
追伸
このnoteは、いつも聴いている『 Otona no Radio Alexandria(大人のラジオ アレクサンドリア)』というラジオ番組内の『大人のサードプレイス』というコーナーで特集された”アーティストの世界”に触れて自分が感じた事を書き残している随想録です。
私はこの番組のファンでリスナーです。
以前、アレクサンドリアというラジオ番組の魅力についてnoteに書き残しましたので是非あわせて読んで頂けると嬉しいです。
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