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推し切る

身近な推しへの気持ちについて。

職場の同僚に推しがいる。触れたいとかもっと深い関係になりたいとか、そういう気持ちは全くない。同じ部署で一緒に仕事をしているだけで頑張れる、心が安らぐ存在。

そんな推しとは、約1年前に私の転勤を機に会えなくなった。支店も担当部署も違うから、連絡することは一切なくなった。個人の連絡先はもちろん知らないし、転勤して数ヶ月後に社内メールで励ましの言葉をくれたくらいで、それっきり。
正直、この1年間ずっとモヤモヤしていた。
彼が何度も夢に出てきたり、仕事の相談を聞いてもらいたいなと思ったりした。その度に、この気持ちが尊敬や憧れからくるものなのか、恋愛的な感情なのか、分からなくなった。

誰にも相談できずにいて、つい先日、勇気を出して親友に思いを打ち明けた。
すると親友は、「推しは推し。それ以上でもそれ以下でもないよ。今の勤務地にそういう存在がいないから、ぽっかり穴が空いたままになってるんじゃない?それを恋愛感情だと勘違いする人が浮気とか不倫とか、誤った方向に進んでしまうのだと思う。推しと彼氏がどっちも目の前にいたら、私は絶対推しに反応してしまう。でも下心はないし、彼氏は彼氏として好きなことには変わりない。そんなもんでしょ、推しって。」と言ってくれた。
肩の荷が、スッとおりた感覚がした。

好きにもたくさん種類があって、同時に別の好きがあっても全然おかしいことではないのだ。
夫を愛しているのは確かで、推しへの憧れがあるのも確かなのである。でもそれは違う「好き」で、比べる対象にはならない。夫は夫だし、推しは推し。ただそれだけなのだ。

私の推しは、私が心から尊敬する人だ。
ワードセンスに優れているところ、落ち着いたトーンで話してくれるところ、文才があるところ、自信がない私をいつも褒めてくれるところ、私を頼って仕事を任せてくれるところ、没頭できる趣味があるところ。私はその全てが好きで、そしてそれは私が目指す理想の自分像に近い。いつも冷静で、仕事も要領よくこなしているところも魅力的で、彼みたいに余裕のある人になりたいと何度思ったことか。
そんな人が近くにいることがとても嬉しかった。
彼みたいな素敵な人になりたいし、彼の活躍を心から応援している。彼は私にとって、大切な推しだ。

全国転勤の会社だから、また一緒に仕事をすることはほぼ100%ないだろう。
でも彼との出会いで、確実に私は、理想の自分に近づくことができている。

異性だからというより、人として好き。気持ちに蓋をする必要なんてなかった。
私の原動力になった彼に感謝をしたい。
もっと成長して、彼に追いつけるように自分磨きを頑張りたいと思う。

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