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【architecture】街を眺める建築|塔の家|東孝光

梅雨が早く始まった上に緊急事態宣言中の岡山
日中息子と過ごす時間も多いこの頃は、よく息子に抱っこをねだられて道路側の窓辺で、通り過ぎる宅配車や郵便配達のバイク、登下校する小学生などを眺めている

抱っこをしているのはしんどいのだが、私は何気ない人間観察が好きだ
街を歩く人は、ニヤニヤしてる人や、何やら落ち込んでいる人や、小走りに急いでいる人など様々な表情をしている

その姿を見ているのは理由は分からないが落ち着きをもたらしてくれる


以前このnoteで紹介した東京は青山のキラー通り沿いに建つ『塔の家』という住宅がある

わずか6坪の敷地に、都会のど真ん中に住みつく意地を感じさせるこの住宅は、1967年に完成してから都市を見つめ続けてきた

内部は狭く足の踏み場もないような状況であるが通りに対して角度を振った大きな窓からは十分な明かりがもたらされる

そしてここに住み続ける人は、ひたすら街を通る人を観察し続けてきた

学生運動が激化した頃には、機動隊に追われた女子大生が飛び込んできたこともあるそうだ

青山であれば芸能人が通ることもあるだろう
もしかしたらスキャンダルの目撃もひとつやふたつあるかもしれない

玄関にあるキッチンに座っていると通りの人とは高低差はあるが3mくらいの距離である
日中はガラスへの光の当たり具合で中の様子は外からはあまり分からないだろう

しかし中からは外を通る人の表情がよく分かる

ここで街の移り変わりを半世紀以上見つめてきた住人にはお気に入りの場所だそうだ

建築を街に開く

そんなことの楽しさを息子を抱えながら考えてみた

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