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【architecture】HouseN|藤本壮介


「だから建築家に頼むとロクなことにならないんだよ」

と散々非難の嵐を浴びそうな外観の住宅である

こんな家住めるわけないだろう( *`ω´)
丸見えじゃないかΣ(-᷅_-᷄๑)
一番外側のハコ意味ないだろo(`ω´ )o

5割くらいの人がこのようなとっぴょうしもないような家を見ると怒っている

人の家なんだからホッといて欲しいものだが怒りの感情が湧いてくるのはなんでなのでしょう…

この建築は大分県に建つ藤本壮介氏という建築家が手掛けた住宅だ

藤本氏の建築については以前私のnoteでも取り上げている



大分に行った際には私も実際に見に行った
思っていたよりも大きな住宅である

この建築は3つのハコ入れ子状になっている
それぞれのハコには大小様々な四角いが開いている

そのは壁や天井にも開いている始末だ

(写真は「藤本壮介読本」より引用)

しかも一番外側の一番大きいハコは開いているだけでガラスも何も入っていない

言ってみればなければないで全く困らないハコなのだ
でもこれが1番オッキクテ金ガカカルという文字通り最もヤッカイシロ(白)モノである

ボコボコ開いた穴からは周囲の景色や空が切り取られたように見える

室内からは三層のハコが重なって見えるのである

1番外側のハコとその内側のハコの間が庭となっていて木が植えられている

外から見ると家から木が生えている不思議な家に見えるがちゃんと外に植った木である

一見馬鹿げた家である
いや一見だけでなく何度見ても馬鹿げている

たぶん住んでみるとここが外なのか内なのか分からなくなるような感覚なのではないだろうか

道ゆく人とは目が合うこともあるだろうし近隣の家からも覗かれるだろう

三層に重なった壁がかろうじて身を隠せる場所をつくり出している

この建築について好き嫌いがあるのは知っている
建築家の横暴と言って怒り出す人もいるだろう
そんなことはつくった建築家も知っている
でも住む人がそれで良いならそれで良いなのだ


ちなみに私はこの住宅に住みたいか住みたくないかで言ったら『住みたい』
あまり周囲に見られていても気にならないタイプだし何より外にいるかのような開放的な暮らしを望んでいる


この住宅で建築家は何をしたかったのか?
それは『グラデーション』をつくることだ

建築は基本的には『壁と屋根』で出来ている
この『壁と屋根』で外部と内部がクッキリ分かれているのが当たり前であるが、このクッキリ分かれる『壁と屋根』を少しずつスライスして間に隙間をつくっていく(難しく言うと壁と屋根を微分)とそこにグラデーションが生まれるんじゃないかという、なんともウサンクサイ言い分である

道路と建築の間に『層』をつくることで、パブリックとプライベートな空間が徐々に変わっていく様を表している

これは日本の縁側に通じる考え方であり、ある意味日本人には馴染み深いものである

そう考えてみるとこの建築は日本的と言えるのではないだろうか


決して一般解になり得るような住宅でないことはみんな知っている

ただ当たり前の『壁と屋根』の建築を打ち破る可能性を表現した勇気ある建築であると私は思う

また道と敷地のあいだの関係性を問い直す面白い建築である

と、私は思う

(考え方は人それぞれでOK!)

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