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【architect】雨のみち


日が昇る前の時間に目覚め、カーテンを開け、窓を開けると雨音がする

なんだろう…
この安心感は

静かな明け方に雨音を聞きながら作業をするのが好きだ

雨音が焦りとか苛立ちとか色々な感情を洗い流してくれるようだ


そんな雨であるが建築にとっては実にヤッカイな存在でずーっと雨との戦いを続けてきているのだ

そもそも建築にかかる雨をどうやって逃すか?建築はそこから始まると言っても過言ではない

その為に人は色々な屋根を考えてきた
切妻屋根(二つ折りの屋根のコト)や片流れ屋根、方形屋根、入母屋屋根などなど屋根の形が建築の見た目を決める大きな要素である

色々な屋根があるのだが、今日は少しニッチだが『雨樋』について考えてみたい

雨樋とは屋根に降った雨を横樋(軒樋)で集めて、縦樋に繋いで地上に落とすものだ

この雨樋、どんな住宅にも付いている
雨樋は屋根に受けた雨がまとまって地上に落ちてしまうのを避けたり、最近では軒が出ていない建築も多い為、屋根に受けた雨が外壁を伝って落ちることで外壁が汚れてしまうのを防ぐ役割がある

建築にとって大事なものなのではあるが、この雨樋のデザインが少々ヤッカイなのである

ヤッカイと思っているのは見た目にこだわる設計士だけで気にならんっちゃならん話ではある

ヤッカイ過ぎて、もうええわ!っと樋を付けることすらやめてしまう建築家も少なからずいる程である

まあそういう設計士は置いておいて、こういうメンドクサイコダワリを持っているのが建築家なのかもしれない(笑)


まず一般的な雨樋とはこんな感じである

(写真はネットより引用)

どこにでもある雨樋であるが、やはり気になるっちゃ気になる
というわけでなんとかして雨樋を隠そうと屋根のかけ方を工夫してみるわけである

しかし雨樋を優先し過ぎて屋根のかけ方を変えるのもいかがなものかと…

またメンドクサイコダワリが建築家から生まれる

じゃあうまく見せるにはどうした良いか…

鎖樋なんかは昔からある手法で、神社などでも見られる

タニタハウジングウェアさんが開発した『ensui』という鎖樋はデザイン性にも機能的にも優れているように思う

ちなみにこちらのタニタハウジングウェアさんは『雨のみちをデザインする』をコンセプトにユニークでデザイン性の高い製品を開発されている


ちょっと変わったものだと『ガーゴイル』というものがある
本来は怪物などをかたどった彫刻をした雨樋を意味するようだが、もっとシンプルに使われている

こちらは以前noteでもご紹介した東京の立川市にある『ふじようちえん』のガーゴイルである

屋根に溜まった雨水が滝のように流れ落ちてくるようになっている

こんな雨樋があれば雨の日が待ち遠しくなるような遊び場になるのではないだろうか

親や先生からすると服や靴までビショビショになって大変かもしれないがそんなことを気にしていたら子ども家業はやっていられない(笑)

こんな雨樋であれば家に欲しいなぁなんて思ってしまう


最後は玄人好みしそうな樋をご紹介


表参道駅のすぐ近くにある『miu miu 青山店』である
女性用のバッグなどを扱う人気ショップである
建築はこの近くのPRADAの設計もしている世界的に有名な建築家ユニット『ヘルツォーク&ド・ムーロン』である

バッグのようなキラキラとした外観に、バッグが口を開けているような形をしている

ちなみにバッグの中身はこんな感じで更にキラキラしている


さてこの雨樋であるが遠目に見るとあまり気付かないがしっかり付いている

薄い鉄板を取り付けて鎖樋に流しているのだ
可能な限りシンプルに目立たないようにつくった樋としては違和感なく出来ているように思った

真っ直ぐに取り付けられた鉄板がある意味バッグのデザインのように感じられないこともない

鎖樋もバッグのショルダーなように見えなくもない


実に建築家のヤッカイメンドクサイコダワリをご紹介したが、まあ気にならんちゃ気にならん方にとってはどーでもいい話である

無理にこだわる必要はない

でも意外と細かなところまで意識している人はモテるものである

建築も同じだろう

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