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【architecture】窓学|訴える窓|aiさんちの窓

こちらの一見日本のどこにでも見かけられる窓
しかしこの窓は建築的に巧みにデザインされた窓である

以前私のnoteで取り上げたイタリア/アマルフィの窓とも引けを取らない秀逸な窓である


実はこちらの窓は人気noterのaiさんちの窓である

100件近いスキを頂戴しているこの窓には建築的に隠された秘密があるはずである

今回はその秘密を探ってみたい

まず真っ先に気になるのが、なんとも言えない表情でこちらを見つめているaiさんちの猫さん
ちょうどaiさんが出掛けようとしたところを、お風呂場の窓から「どこいくの〜」と。。

引き違い窓開けると半分しか開かない
ちょうど猫さんが横になってピッタリなサイズに設計されたとしか思えない窓である
取り付け高も猫さんが届く高さであり、かつ通りを歩くaiさんともちょうど目線が合う高さに設定されている

取り付け高
窓を取り付ける高さのこと
一般的には1階の床高さから窓枠の下端までの寸法を言う

浴室の窓は型板ガラスで中が見えないつくりになっている
これも猫さんの窓を開けたい衝動を誘惑しているとしか思えない

型板ガラス
表面に凹凸の加工を施したガラスのことを指す。視界を遮る効果があるため、家の中ではお風呂やトイレなどに使われることが多いガラスである


またこの浴室の配置も勝手にお出掛けする家族を猫さんが監視するために設置されたと推測できる
日当たりも抜群なのは猫さんのための窓だからだろう

窓台の奥行は猫さんがちょうど横になってゆっくり出来る寸法設定だ

窓台
窓などの開口部の上下に水平に設ける部材で、上部にありその上部の壁を支えるものを「まぐさ」、下部にあり窓の下枠を受けるものを「窓台」と呼ぶ

「買い物に行ってくるからお留守番してて」というとイジケた素振りをされている

そして秀逸なデザインはこの格子である
お風呂場だから開けて換気したいときのための防犯用かと思われるが、これも猫さんのための設計である
ちょうど猫さんが掴みやすいサイズの角パイプが選ばれており、縦桟にすることでより掴みやすい向きとなっている

縦桟
縦に渡すように据え付けられた「桟」

桟と桟は手を出すのも、捕まるのも、顔を押し出すのもちょうどよい内法寸法となっている
これは疑いもなく猫さんのために設計された格子である

内法寸法
内法とは、柱や建具など厚みのあるものの内側を測る寸法で、柱間隔や窓・出入り口幅を計測する時に用いられる。 建物の有効面積を算出する場合には、壁の内側と内側を測る内法計算で考える。 対して、部材等の中心線を基準に測定するやり方を「心々」「真々」(しんしん)、部材等の外側を基準に想定するやり方を「外法」という。

「すぐ帰るね〜」といっても駄々をこねるがその時この桟がまるで想定していたかのような位置にある

極め付けはこの表情である
頭を突き出しても出られない絶妙な内法寸法である


この猫さんの悲痛なまでの訴えをデザインしたaiさんちの窓は『喋る窓』(※2)ならぬ『訴える窓』と言えるだろう

何気ない日常に潜む出来事をデザインした建築家の作品である


※1
昨日投稿の記事『ことば』よりaiさんのリクエストを受けてコムズカシイ言葉を使ってデザインされた窓を、分かりやすい説明を交えて解説してみた

※2
『喋る窓』は以前私のnoteで紹介した窓である

※3
この記事はフィクションであり、事実確認はしていません

※4
写真は全てaiさんの記事からお借りしました

※5
aiさんの素敵な記事の数々をご堪能ください!

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