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物食日記

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美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
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2023年7月の記事一覧

眼に滋養

眼に滋養

真夏の昼下がり、世田谷羽根木の「out of museum」へ、また眼を養いたくて足を運ぶ。店主、小林 眞さんが蒐集した物はどれも力がみなぎり、ドーンと心掴まれちゃう。こんなインパクトある感覚は鎌倉「もやい工藝」の創業者、故・久野恵一さんが旅しながら選び集めた美しく健やか、骨格ある工藝品を眼のあたりにしたとき以来だ。物にときめく気持ちはだいぶ薄まってきたと思うようになったが、いやいや、まだまだ。小

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Summer Time

Summer Time

葉山町長柄、山の麓にある大好きなパン屋さん「earth7716factory」がサマータイムを試験的に導入するという嬉しいニュースを知ってパンを買いに行った。

8月31日まで水・木・金曜は開店時間が11時から18時。ふだんは16時閉店だったから仕事帰りに寄ることは叶わなかったので、これはありがたい!

大汗かいた作業着から乾いたTシャツに着替えてクロスカブで夏の眩い陽と爽快な風を浴びながら嬉々と

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柿落としは、つがおかさん

柿落としは、つがおかさん

葉山一色海岸近くの数寄屋建築を活用したモダンなギャラリー&ショップ「MOMOYAMA」がオープンした。かなり以前はカジュアルかつ上質な割烹料理店だった場といえば、地域の住民はピンとくるのでは。

我が家からは歩いて1分の立地だから近代美術館に並んで日常的にふらっと目指せる、自身には気軽なアート空間がまた増えたことが嬉しく、最初の企画展示が親しいイラストレーターつがおか一孝さんの仕事を全方位で網羅す

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パンと山歩とビール

パンと山歩とビール

待望の梅雨明け。じっとした湿気が薄まり、やや乾いた暑さに変容し、盛夏のアクティブな心持ちになる。休日もクーラーなしの家にじっとしていられなくて近所の低山へ。いつもの「三浦アルプス 二子山・仙元山コース」。

葉山の海辺から裏道を抜けて森戸川源流のエントランスに向かっててくてく歩く。まずは葉山の一色の三ヶ丘を下り、とても気になっているトヨタの小型EV『コムス』を横目に三ヶ下海岸へ。

真名瀬の渚から

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コーヒーと夏の光

コーヒーと夏の光

真夏の外仕事を終え、汗びっしょりかいた長袖シャツを脱ぎ、メッシュ状Tシャツ1枚纏ってクロスカブで街を走り、バイク・ライディングならではの爽快さに心酔し、一日の疲れを忘れる。これは夏こその悠楽。

コーヒー豆をきらしてしまったので、葉山御用邸前の焙煎工房「THE FIVE☆BEANS」に寄る。たまたま店頭に居ためぐるさんと楽しくおしゃべりしながら、今夏、新たに店で始まるドーナッツとコーヒーのモーニン

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光と影、葉山

光と影、葉山

今夏いちばんの酷暑と感じた海の日。クーラーのない我が家が高温となる午後3時過ぎ、これはたまらんと家から歩いて数分、海辺の近代美術館葉山へ企画展「挑発関係=中平卓馬×森山大道」をビーサン引っ掛け観に行った。

ぼくが生まれる前年1964年に出会い、互いに逗子で暮らしていたことから頻繁に交流し、刺激し合った二人。葉山、逗子を中心に神奈川県内で撮影された両者のスナップ作品を選び、比較展示している。街歩き

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オオカミに誘われて

オオカミに誘われて

生まれて半世紀を過ぎ、3年前に職の大転換をおこなった。そして今、また新たなステージに向かいそうなタイミング。いろいろ悩んでいたとき、たまたま入った逗子の古書店で一冊の本に逢い、その偶然に縁を感じてしまった。

「ととら堂」の書棚で眼に留まった『わが家のクーヌー』。ぼくが生まれた翌年1966年発行、早川書房のペーパーバック。シアトルという都会でオオカミとともに暮らす内容以上にタイトルに惹かれた。ぼく

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水の戸をめぐる散歩 後編

水の戸をめぐる散歩 後編

『MitoriO』エリアを後にして黄門さん通りを南町方面へ。台地を下って桜川の谷底に広がる仙波湖で憩おうと南町3丁目の交差点、自由広場「M-SPO」に移動したら驚きの物体が視界に入った。

2年前の夏、上野「東京都美術館」の特別展『イサム・ノグチ 発見の道』で鑑賞した遊具《プレイスカルプチュア》。

それがなぜここに!とネットで検索したら、この作品は茨城放送が発注制作したもので、展示終了後この広場

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水の戸をめぐる散歩 中編

水の戸をめぐる散歩 中編

父が小学生時代を過ごした水辺、本家があった地域は町名が変わっただけでなく、往時を偲ぶ断片も無く、落胆しながら那珂川の上流へ土手を遡って歩いた。ローカルなJR水郡線が走る橋を過ぎ、水府橋あたりから街に戻った。

立派な植栽の家が眼に入ると、つい表札を確かめてしまう。

風水的な役割で水戸商工会議所が設置したという獅子像に見入る。水の都は風水との関わりが深い。水戸も例外ではないようだ。石像制作は中国出

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水の戸をめぐる散歩 前編

水の戸をめぐる散歩 前編

先月「Mの旅」と題して益子と水戸を車で日帰り旅行したが、目的をあれこれ欲張りすぎ、夕方以降の水戸探訪が浅く物足りなく思った。それで水戸だけに絞り、電車で再訪し、じっくり歩きまわってみたのだった。

海や川の水が出入りするところ。それが那珂川、桜川、千波湖に囲まれた台地、水戸の地名由来だそう。豊かな水の都だから歩くとおのずと水域に行き当たる。もとより穏やかで歩きやすい街だけど、さらに水辺にはゆったり

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スナップ記、大切かも

スナップ記、大切かも

家の近所に立つ、元タバコ屋の古い木造家屋前から昔の丸い郵便ポストが撤去され、風景の欠損感、風情の紛失感を残念に感じていたら、その家の住み手も転居したとつい先日知った。家は無人になると生気を失い、とたんに荒れた気配を発していくものだが、この家も例外ではないようだ。近々に解体されてしまうのだろうかと勝手に寂しさを覚えた。

これは7年前、葉山しおさい博物館での写真展示用にハッセルブラッドとコダックの中

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水有月

水有月

旧暦6月の始まりは大雨から。いつまで梅雨が続くのかと休日の朝、出かける気分が鎮まる。

と言いつつ、猛烈な湿度を煙る裏山を見上げ、雨に打たれながら近所の「ポコパン」にいつものトースト食パンを買いに行く。

いくら億劫でも、生活必需食品だから補わずにはいられない。幸い、雨量が激しい開店直後のタイミングは珍しく並ばずにすんなり入れて、定兼夫妻ともゆっくり近況話をできて、憂鬱を祓って心は晴れ晴れ。

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8,000円代の真空管アンプ

8,000円代の真空管アンプ

中国広東省深圳市に拠点を置くオーディオメーカーNobsound社の真空管プリメインアンプ『DOUK AUDIO TUBE-T4C』をamazonにて購入。

平塚の画家・秋元しゅうせいさん製作のひょうたんスピーカーTAOを15年前に入手した際、合わせて葉山のミュージシャンの故・マーボー藤川さんに作ってもらった簡素なアンプをずっと使ってきたが、真空管を介するとデジタル音源がまろやかな音に変質するかも

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