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仕事も家庭も子供も欲しい

最近「こども家庭庁」の発足や、「異次元の少子化対策」の中身について議論するYouTubeをよく見ています。

政府の子育て支援策は
・児童手当の所得制限撤廃
・出産一時金増額
・上場企業は男性の育児休業取得率の公表を義務化

等、実際に「子育てフェーズ」に入った夫婦に対することが殆どのようです。(記憶にあるものしか列挙していないですが)

ただ、議論の場で出てくる「国民の声」は

・そもそも出産適齢期の女性が減っているので出生率が上がっても実際の出生数は増えない
・価値観の多様化で結婚・出産を望まない人が増えている
・結婚ができない(経済的理由・相手がいない)人が増えている

とのことでした。

私は田舎育ちということもあり、周りに「結婚していない大人の女性」に出会うことがなかったので「大人になったら結婚して子供を産む」というのが「当たり前の事」として意識してきました。

でも、そんな気持ちが大きく揺れた時期があります。

それは、29歳の時。

婦人科系の疾患があり、自然妊娠は難しいと言われて不妊治療をしていました。

ただ、保険が全く適用されない治療費…の前に、検査費用もすべて高額。

待ち時間が長くて、診察を終えたのが深夜0時を超える日もあった。

週に4回以上通院しなければいけない時期もあり、普通の9時~17時の会社員生活と両立するのがとても難しかったのです。

その当時も当たり前のように「少子化、少子化」と言われていましたが、子供を望んでも「妊娠」がこんなに難しいことを初めて知り

仕事との調整、周りの目に疲れ果てて「いっそ、不妊治療に専念したい」と考えたものの、底なしの治療費が怖い。

当時、通勤にも1時間要していたので「そもそも今、この会社で妊娠、出産という流れになったら、子育てしながら働ける会社なのか?子供を預けてまで働きたい会社なのか?」と、悩んだ結果答えは「NO」でした。

では辞めよう → でもお金がない

そのループを繰り返していた時、登録していた転職サイトにスカウトメールが来て、「今の仕事にしがみついていないか」という一言に心の中ぞ覗かれたような気持ちになり、そのメールの送り主に会いに行きました。

場所は都内の超高層ビルの20階。

残業で約束の時間より1時間も遅れて到着した私を温かく迎え入れて
「結構転職活動とかしてるんですか?」と聞かれました。

その当時、物凄く閉鎖的で息苦しい会社に勤めていた私は人から自分について質問される機会が殆どなかったこと。

そして八方塞がりでピンと張りつめていた気持ちが急にあふれてきて

初めて会った利害関係が一切ない目の前の男性に向かって

・不妊治療をしている
・もし今すぐ妊娠しても、今勤めている会社で子育てしながら働きたくない
・それでも治療費が大変なので仕事はしなければいけない
・でも今の会社でずっと働き続けるのはいやなので転職サイトへ登録してる
・不妊治療中なので働ける日や曜日もハッキリせず、転職先どころかバイトすら見つからない

と、先が見えない苦しさを泣きながら訴えました。

振り返ると本当に恥ずかしいのですが、恐らく病院に行けば「うつ病」と診断されるくらい苦しかったのです。

私の話がひと段落ついたとき、その男性は

「仕事は何歳からでもできるから、今は不妊治療に専念した方が良い。
僕の妻もバリバリのキャリアウーマンだったけど、産まれた子供が少し障害があって仕事を辞めなくてはいけなくなったけど、母親になれて本当に良かったって、子供を持つことが幸せだって、いつも言ってる。
仕事は何歳からでも、子育てが終わってからでもできるけど、子供を産めるのは期限があるよ。だから社員とか仕事に拘らなくて良い」

という言葉をくれました。

今思うと本当に「お疲れ様」と声をかけたくなりますが

・30歳までに結婚したい
・30歳までに出産したい
・30歳を過ぎたら転職できない

と「30歳」というステージを異常に恐れていたのです。
そして、既に「新卒」でもない「転職活動」は「前職の経験」「即戦力を求められる」と言われて、もう一から何かを始めることはできないんだ…と物凄い絶望感の中をさまよっていました。

なので「仕事は何歳からでもできる」という言葉に、本当に衝撃を受けました。

結局私は、その男性に「治療に専念した方が良い」と言われたにも関わらず、その会社へ転職しました。

それは、「この会社なら不妊治療と両立できる。出産後も子育てしながら、子供の授業参観とか色んな行事にも全部出席しながら働き続けられる」と思ったからです。

転職して数年後に長男と次男を2歳差で出産して、いよいよ今日長男が小学校へ入学します。

今まで保育園の懇談会も、参観も全て出席。

発熱した時に病児保育へ預けたり、シッターさんを頼むこともなく、自分で看病ができました。

今、色んな少子化対策を打ち出しているけれど、私は
「仕事も家庭も子供も欲しい」

自分の気持ちに正直に、そして自分の足でそれが叶えられる場所を探して自分の欲しい「環境」を何とか掴み取ることができました。

先日紹介した「にげて さがして」という絵本のように。

「探した」結果です。


長男の入学式の朝、なぜこんなことを書きたくなったのか自分でも分からないけれど。

少しでも子供を望む人。

不妊治療の真っただ中にいる人。

結婚や出産に迷う人。

そんな方の目に留まればうれしいです。

そして「産みたい」と思う人が安心して出産・子育てができる日本になることを祈っています。


20年後、30年後の未来を創る子供たち。

入学おめでとう!

頂いたサポートは書籍や体験に使わせて頂き、またnoteでお返しいたします!