「つながらない権利」という新しい価値観。
「休みと言っても、客が暴れてるとかトラブルがあれば駆け付けないと行けないんで。店長になってから遠出した事は1度もないです」
もう何年も前の事。
仕事で知り合った、30代の男性と話していた時の事。
その方は大手ファミレスで店長として働き始めて3年目という頃だった。
そのお店は24時間営業だったのでシフト制である事は勿論、帰宅後も休暇中も何かトラブルがあればいつでも携帯で呼び出されるのでまとまった休みが取れないと言っていた。
ファミレスの店長以外にも、24時間稼働の工場の現場責任者とか、自営業とか、SEとか、常に「仕事とつながる」職種は沢山ある。
でも、この「つながる」という心理的な負担について見直す時代はすぐそこにあるかもしれない。
つながらない権利
日経新聞にこんな記事を発見した。
空調設備のオーテックという企業で、休日や就業後に取引先から携帯へ連絡が来た際に自動で会社へ転送される仕組みを導入し、「時間外の顧客対応」をしなくて済むようにした…という話。
全文はオーテックHPにも掲載されています↓webreprint.nikkei.co.jp/r/008D45CA983F41568B40CA4D60603836/
もちろん、大企業じゃないと導入できないような部分ではあると思う。
でも、人手不足が深刻な今は賃金以外の「労働環境」の整備も大事になってきているのでは?
過去の記事でも書いた様に、人手不足解消のために余力のある企業はどんどん福利厚生を拡充している。
繋がる事の負荷
ここ数年、私は「土日祝は休暇」を社内外問わず公言している。
なので昔に比べると相当減ってきてはいるけれど、休日に社外の方からLINEWORKS等のツールや、電話で連絡が入る事がある。
休日はストッキングも一切はかないし、手帳も持ち歩かないし。100%OFFモードに突入している。
そんなOFFモードの中、急に仕事の電話がかかってくると滑らかに言葉が出てこない(笑)
LINEを頂いても、目の前で子供がキャーキャー遊んでいると文章が浮かんでこない(笑)
OFFの日だけではない。
仕事中に2件、3件と続けて訪問予定がある時に限って、調べなければ分からない問い合わせがきたり、電話が来る事もある。
コールセンターではないのですぐに電話に出られなくても当たり前。
そう思いつつも、商談中にブルブル携帯が鳴ったり、通知がいくつも入ってくると意識がそちらへ持っていかれる事がある。
不便が心地良い
こんな時代に、「繋がらない」が徹底されている現場があった。
それは子供が通うスイミングスクールと、療育だ。
スイミングスクールには、長男が夏休みに参加したキャンプの件で店長さんと電話で何回かやり取りをした。
その件でこちらから電話をした時に「今日は休みです」との事で、話がそれ以上進まなかった。
次の日、店長さんから折り返しを貰ったけど、今度は私が電話に出られなかった。
私から折り返してみると「今、スイミング指導に入っているので出られない」との事で、また話せなかった。
結局、そんな調子で何度もすれ違って話ができたのは2日後位だった(笑)
療育も全く同じで、「不在」「指導中」となれば全く話が進まないし、17時以降は終業となるため、夜に折り返しが来る事も一切ないし、こちらが電話をしてもつながらない。
不便だ。
「用事がある側」としては、とても不便だ。
だけど、その不便さが逆にスッキリする。
療育からは17時以降と土日祝には一切電話がかかってこない。
すると金曜日に連絡が取れなかった時点で「月曜日までは折り返しが来ない」という事が確定する。
それが分かれば、土日は療育の事を忘れられる。
携帯が普及して20年以上経ち、通話やメールと言う直接的な連絡以外でも、「通知」という形でSNSや企業のDM等が、絶えず私達の集中力を奪いに来る時代になった。
「新幹線で仕事ができるようになって、読書をしたり昼寝をするという休憩ができなくなった」
そんなビジネスパーソンも多い。
でも新幹線どころか、映画館でも絶えずスマホをチェックしてしまう様な人もいる。
「絶えず繋がれる」ツールを手にした現代人は「今、ここ」に集中し辛い。
「繋がらない権利」は、仕事だけではなくプライベートのやり取りにも。
そしてこれから思春期を迎える子供にも、教えていきたい大切な権利だと思う。
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