マガジンのカバー画像

逆噴射小説大賞2023ピックアップ

57
運営しているクリエイター

#創作

ゼンチ!!!!!

ゼンチ!!!!!

 七七志信は、同学年と比べ小さい体をさらに縮こまらせた。
 派手なアクセサリーやらピアスやらを十二分に着けた外星人3人に周囲を固められていたからである。
 ギラギラと輝き蛾を吸い寄せる蛍光灯がランドセルを照らし、スピーカーからの重低音が腹に響く中、頭上では知らない言葉が交わされている。時折触手で出来た男がずろずろと体に手を這わすので、鳥肌が止まらない。
 虎に似た容姿の女が口元をぐにゃりと歪める。

もっとみる
「迦陵頻伽(かりょうびんが)の仔は西へ」

「迦陵頻伽(かりょうびんが)の仔は西へ」

 身の丈七尺の大柄。左肩の上には塵避けの外套を纏った少女。入唐後の二年半で良嗣が集めた衆目は数知れず、今も四人の男の視線を浴びている。

 左肩でオトが呟いた。
「別に辞めなくたって」
 二人は商隊と共に砂漠を征き、西域を目指していた。昨晩オトの寝具を捲った商人に、良嗣が鉄拳を振るうまでは。
「奴らは信用できん」
「割符はどうすんの」
 陽関の関所を通る術が無ければ、敦煌からの──否、海をも越えた

もっとみる