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透々実生
2021年7月31日 19:47
1話目はこちらから。Episode 4.5:夢も現も。『お前は、もう二度と日光を浴びられない』『お前は、もう二度と外を歩くことは出来ない』『お前は、もう二度と人間として生きられない』『お前は、もう二度と幸せなど掴めない』 引き裂かれた笑みを浮かべる人間共が、俺に言い寄って来る。 やめろ、やめてくれ。 そんな顔を、しないでくれ。『お前は、もう二度と日光を浴びられない』『お前は
2021年7月27日 23:01
1話目はこちらから。Episode 4:「霊前」カップルトーク。「……本当に行くことになるとは」「だって約束したし!」「まあ、したけど」「じゃあ、つべこべ言わずについて来るっ!」 午後10時過ぎ。子供が歩くには遅すぎる時間帯だ。警察に見つかれば補導確定――どころか、世間的には幼い男女2人で歩いている所を見られたら色々終わりだ。 こういうのを、世間では不純異性交遊と責め立てるらしい。
2021年7月25日 17:29
1話目はこちらから。Episode 3:無彩色世界論と、彼女からのお誘い。 晩春を迎えつつある外は、心地よい暖かさを残している。 雲ひとつ無い青空は清々しく、時折吹く風は肌を労わるように優しい。 ……などと、今目の前に広がる景色を小説では描写するのかもしれない。 だがはっきり言わせてもらえば、そんな記述は不要だ。 その表現技術が小説家としての腕の見せ所の1つなのは分かるが、どう考えて
2021年7月24日 12:01
1章、英雄不在の吸血鬼。Future Preface 1:腹破れた失格者。Episode 1:幼き同棲。Episode 2:英雄不在の日常生活。Episode 3:無彩色世界論と、彼女からのお誘い。Episode 4:「霊前」カップルトーク。Episode 4.5:夢も現も。Episode 5:過剰心霊スポット。Episode 6:シャイニング・オン・ベリー。Episode -1:
2021年7月23日 20:05
1話目はこちらから。Episode 2:英雄不在の日常生活。「おいしーいっ!」「それは何より」 すっかり目が覚めた(というより覚めさせた)カナは、満面の笑みで朝飯をぱくぱく食べている。 トーストにハムエッグと、少々の野菜。オーソドックスな誰でも作れる朝ご飯だ。カナの爆発的なエネルギーに見合う量であるかは分からないが、美味しそうに食べてくれるのならそれで良い。「こんな美味しいもの作れる
2021年7月22日 11:07
他人の立場に立って考えなさい――と、ある人は言った。 自分を大切にしなさい――と、別の人は言った。 どうでもいい――と、自分は2人を黙殺した。***Episode 1:幼き同棲。 ――体が重い、ということの原因には幾つかある。 具合が悪いとか、嫌なことがこの先待ち受けているとか、金縛りとか。 今自分の体が重いのは、別に体調が優れないからではない。万全快調だ。嫌なことが待ち受けてい
2021年7月20日 22:40
Future Preface1:腹破れた失格者。 ――深夜の廃屋、というのは人を惹きつけるらしい。 散乱した硝子片。積みあがる綿埃。不気味な壊れかけ人形。ギシギシと鳴り響く床板。不気味と不安の不協和音が織りなす、独自で独創的な空気感。 こうした怪談チックなものにスリルを求めているのだろう。『日常では飽き足らない』『刺激が欲しい』といった、脳の壊れた愉快者の愚劣な思考だ。 そう、壊れている――