見出し画像

フードイノベーションの未来像「食のパーソナライゼーション」総括編へ向けた問い(共催:『WIRED』日本版/シグマクシス)

「人類の食とウェルビーイング」のつながりを多角的に深堀りする、好評ウェビナーシリーズ「フードイノベーションの未来像」。2022年からは「食とパーソナライゼーション編」と銘打ち全6回のセッションをお届けしている。
パーソナライズ編の最終回となる3月24日(金)のvol.6では、ゲストにカーマインワークス代表の深田昌則氏を招き、これまでのセッションを振り返り、人が求める本質的な価値を提供できる食のパーソナライゼーションとはどうあるべきか?またそれを社会にどのように実装できるだろうか?という点について議論する。

本記事では、1月27日に実施したvol.5「Quantified Selfと食〜デジタルツインが拡張する食のパーソナライゼーション」における議論を振り返りつつ、総括回となるvol.6に携えるべき問いについて考えたい。

本記事を最後までご覧いただいた読者限定で、vol.6をお得に視聴いただけるクーポンをご用意した。クーポンコードを本文の下部に記載するのでご活用いただきたい

次回ウェビナー【食のパーソナライゼーションの未来像~フードイノベーターが捉えるべき視点とは?】お申し込みページはこちら


人間拡張は食のパーソナライゼーションをどう変えるか

デジタル技術によって購買行動や好み、身体の状態などが可視化され、食のシーンでも最適解を提案するパーソナライゼーションが進んでいる。人々の生活や地球が豊かになるために、パーソナライゼーションはどうあるべきか?Web3やAIなど、これから登場する技術は、食のパーソナライゼーションにどのようなインパクトを持つか?我々は、このような問いをもって専門家と議論を行ってきた。
そこから導きだしたのは、Web3によってパーソナライゼーションの目的が多様化していくということ。その中で、生活者自身も自覚できていない「無意識の価値観」に目を向けることや、他者との関係性(We-mode)や環境とのインタラクションの中で起こる偶発的な出会いによる変化が、ウェルビーイングをもたらすカギである、という示唆だった。

過去に実施した「パーソナライゼーション編」vol.1~4で得られた示唆についてはこちらのnoteでも詳述している

しかし、デジタルツインなどWeb3時代に可能となるテクノロジーは、個人の行動や価値観、コミュニティの在り方をも根本的に変え得る。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)や、人間の五感を拡張するような技術が進歩し、言語だけでなく身体感覚もバーチャル化していく時代には中で「無意識の価値観」はどのように解放されうるのだろうか。また、偶発的な出会いを生み出すパーソナライゼーションとは、一体どのように実現されるのだろうか。

vol.5(前回)では、ゲストに身体の「自在化」をテーマに人間拡張を研究している東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野教授の稲見昌彦氏を迎え、この問いについて議論した。

稲見氏が専門とする身体情報学は、身体を情報システムとして理解し有用なツールやサービスの設計につなげることを試みる学問分野だ。
身体というと一般的には、医学では生理学的なアプローチ、スポーツなどでは運動学的・力学的アプローチがとられるが、身体情報学は人間の持つ能力を向上・補完するような「能力拡張技術」や、バーチャルリアリティ技術などを用いて得られる身体からのフィードバックを、情報システムと捉えて身体性を解明する手法がとられる。
今回登壇いただいた稲見氏は、中でも「自在化」に注目している。自在化とは、人間が行為主体感を持ったままロボットやAIと一体となって行動することを指す。ロボットやAIなどに完全にコントロールを委ねる「自動化」とは異なり、人間が介入したいときには自由自在に行動する余地を残すものだ。

セッションの中で、稲見氏は人間の能力拡張についてのユニークな実験例をいくつか紹介した。ロボットアームを二人羽織の状態で装着していると、段々と慣れてきて自分自身の第三・第四の腕のように扱えるようになっていくというものや、指先に顕微鏡付のセンサーを装着して物をさわっていると、指先が研ぎ澄まされた感覚を体得でき、センサーを外したあとも器用な動きが可能になるというようなものだ。これらの実験から、これまで人間が得ることのできなかった感覚や能力が、テクノロジーによって拡張されていることを確認できるだろう。

一方で、稲見氏は人間の能力は自己と環境の相互作用の結果発揮されるものだという考えも強調した。この前提に立つと、環境側への働きかけによっても人間の能力は拡張できる
例えば、野球が得意な人が必ずしもサッカーが得意ではないように、聴覚が不自由な人がチャットベースのオンラインゲームで強いプレイヤーになることがあるように、ルールや環境によって能力の発揮度合いは大きく変わる。つまり、能力は身体や脳に完全に帰属しているのではなく、環境に働きかけることで、環境と身体の相互作用の在り方を変え、新しい能力を引き出せる可能性があるということだ。
環境側への働きかけは、まさにメタバースやVR技術が得意としている領域だ。食体験で考えると例えば次のような体験も作り出せるかもしれない。ベジタリアンの人と非ベジタリアンの人、あるいはアルコールを飲む人と飲まない人が食事を共にしたとする。現実世界ではそれぞれ異なるものを喫食しているが、ここにメタバースという情報空間を介すことによって、同じ食体験を共有しているような感覚を作り上げることが可能になる。メタバース上では同じ食体験をシェアしていると感じられるのに、実際にはパーソナルな食体験をしている。これはデジタルによって実現できる食体験の新たな価値であるといえるだろう。

以上のように、vol.5では様々な研究例やアイデアを織り交ぜながら、トークが進んだ。デジタルツインによる全く新しい食体験と、人間の感覚/能力の拡張が相乗的に絡み合っていくと、従来の「過去や現在のデータから見たパーソナライゼーション」ではなく、「未来の在りたい姿に合わせたパーソナライゼーション」が可能になるのではないか。さらに、現在の自分が思い描ける範囲を超えた未来のありたい姿、すなわちロールモデルを提示してくれる可能性が、デジタルや自在化にはあるのではないか。稲見氏とのセッションはそのような展望をもって締めくくられた。

次回「食のパーソナライゼーション」総括編へ向けて

次回vol.6「食のパーソナライゼーション」総括編では、カーマインワークス代表の深田昌則氏を招いて「食のパーソナライゼーション」の本質と社会実装の要諦について議論する。
「パーソナライゼーション編」の最終回となる今回は、これまでのウェビナーで見えてきたインサイトを踏まえ、目指すべき食のパーソナライゼーションの再定義を行いたい。現在、パーソナライゼーションは生活者のウェルビーイングを無視して経済合理性を優先するような方向にリコメンドが行われたり、行き過ぎた自動化によって生活者の主体性を削ぐようなリスクを孕んでいる。このような負の側面を乗り越えて、人が本質的に求める価値を提供するパーソナライゼーションとは、すなわち何なのか?ゲストおよびパネリストそれぞれの視点でこれまでの議論を踏まえ、言語化を試みる

また、ビジネスに引き寄せて考えるとどのように実装できるのか?というディスカッションも行う予定だ。「偶発的な出会い」を創造し「無意識の価値観」を開放するには、どのようなサービスが考えられ得るか?食品メーカー、流通、外食など、各産業はどのようなNext Actionをとりうるか?vol.5でインプットした人間拡張やメタバースといった新しい技術による可能性も視野に入れ、具体的なアイデアを出し合う。
参加者にも、ぜひ自分のアイデアを思い浮かべつつご視聴いただきたい。

【イベント概要】
■日時
2023年3月24日(金)19:00~21:00
※ ビデオ会議アプリケーション「Zoom」(ウェビナー形式)で開催。
※ みなさまからのご質問をチャットで受け付け、回答いたします。

■登壇者
・ゲスト 
深田 昌則|MASA FUKATA
カーマインワークス合同会社 代表
・パネリスト
田中宏隆|HIROTAKA TANAKA
株式会社シグマクシス 常務執行役員/SKS JAPAN主催者
岡田亜希子|AKIKO OKADA
株式会社シグマクシス Research/Insight Specialist
松島倫明|MICHIAKI MATSUSHIMA
『WIRED』日本版 編集長

■参加費
1. オンライン参加:4,000円(税込)
ここまで読んでいただいた方に、次回の「フードイノベーションの未来像」がお得に視聴できるクーポンコードをご用意した。
Peatixのチケットページにて、以下のクーポンコードを入力して申し込みいただける。
クーポンコード:SZ-foodinnovation14_MEM

2. 『WIRED』日本版SZ会員: 無料︎
※ WIREDのSZメンバーシップ会員はPeatixページからのお申し込みは不要です。当日、ご登録のメールアドレスに視聴URLをお送りします。


イベントお申込みページはこちら

■ご注意事項
※ 視聴URLの他者への転用は禁止しております。
※ 本ウェビナーのダイジェストは、『WIRED』 日本版で掲載予定です。

■ゲストプロフィール

深田 昌則|MASA FUKATA
カーマインワークス合同会社 代表。パナソニック(松下電器産業)入社後、米国およびカナダ赴任、Technics等のAV機器の国際営業・宣伝を担当、LUMIX等の全世界市場導入責任者、全社オリンピック実務責任者、パナソニックカナダ家電部門ディレクター、家電分社海外部門の新規事業開発室長を経て、2016年に新規事業創出アクセラレーター「ゲームチェンジャー・カタパルト」を創設。2018年、米国の日系VCと合弁事業支援会社「株式会社BeeEdge」を設立、取締役を兼務、傘下に事業会社3社設立。現在はパナソニックを退社、カーマインワークス合同会社を設立し、事業開発・スタートアップ支援や地方創生、フードテック、スポーツイノベーションなど複数のプロジェクトに携わるとともに、新産業共創スタジオSUNDRED株式会社エグゼクティブバイスプレジデント、CVO兼CMOを務める。現在はリジェネラティブな食のバリューチェーン研究に従事。スポーツ庁技術審査員、2023年より Future Food InstituteのJapan Local Executiveに就任。神戸大学大学院経営学研究科卒(MBA)