中本速

詩と短歌が好きです。テニスを始めましたが両手バックハンドに苦戦しています。 メールアド…

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詩と短歌が好きです。テニスを始めましたが両手バックハンドに苦戦しています。 メールアドレス:sknkmt02@gmail.com

マガジン

  • 【完結】ハンセン病療養者の短詩を読む

    『訴歌 あなたはきっと橋を渡って来てくれる』阿部正子・編(皓星社) という本から、 ハンセン病療養者の短歌・俳句・川柳を評付きで紹介します。

  • 【更新停止中】現代短歌の鑑賞101 を読む

    短歌の詞華集『現代短歌の鑑賞101』を、読んでいきます。 ……ということで書いていたのですが、 「アンソロジーを読んでの評は批判的なことを書きづらい」と気付いて、筆が止まってしまいました。 途中までになっております。

  • えいしょ・評

    • 91本

    メンバーによる評が読めます。

記事一覧

【心の詩歌】廃刊のお知らせと感謝

定期購読マガジン「心の詩歌」は8月をもって廃刊とします。 ある程度文章を書いたこの七ヶ月のあいだに、再度、実作に力を込めたい気持ちになりました。 「実作に優る批評…

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3週間前
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【心の詩歌】油断したい、させられたい

詩歌でいちばん大切なのは「ともに油断する力」ではないかと思うことがあります。 特に短歌においては、あらかじめ同じ形式の作品と比較される運命にあるため、ストイック…

中本速
4週間前
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ヒュー!日向 ヒュー!短歌、という短歌マッチング企画があってから、日向という文字から「ひなた」でも「ひゅうがこじろう」でもなく地名としてのひゅうがを思うようになった。というか、この企画のテーマソング、トクマルシューゴだったんだね(好きな曲があるミュージシャン)

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1か月前
2

【心の詩歌】結婚すると歌の心がわかるよと言われたら(その2)

前回書いた、「結婚すれば本当の歌の心がわかるよ」(穂村弘が書いた、別の歌人の発言)の話の続きです。 詩において作者の人生と作品は分かちがたい部分があります。 詩…

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中本速
1か月前

【心の詩歌】結婚すると歌の心がわかるよと言われたら(その1)

穂村弘の文章に、歌人の特徴を書いたものがあります。「生命と自我の肯定」があると穂村は書きます。たとえばこんな感じです。 これらの親切さはある程度無遠慮な側面を持…

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1か月前
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【心の詩歌】長崎平和祈念式典のアメリカ駐日大使不参加と短歌

2024年8月9日に行われた長崎平和祈念式典には、その日付に原子爆弾を落とした当のアメリカから大使が参加しませんでした。 また、他のG7諸国やEUの代表も参加し…

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1か月前

友達を、とあるラーメン屋につれてゆくことを考えてワクワクしてきた

中本速
1か月前
1

風上へ歩く。向かい風が吹く。気持ちいい顔が自分である。自分の身体は風の日陰を作っている。この「日陰」も自分のように思うのだ。

中本速
1か月前
1

自分でいいと思える自分をやるのは、自分の襟首にぶらさがっているようで馬鹿馬鹿しい。

中本速
1か月前

西巻真さんの文章、全体が正しいのかどうかはわからないが、書き手が何かをわかっていることが伝わってきて好きである。西巻さんは自分とかなり違うタイプの思考をすると思うが、それでいて読んでいて楽しい。
https://note.com/cocoatalk/n/nca903fe63fb0

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1か月前
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ヘッダー画像を先日行った棚田にしました

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1か月前
2

【テニスつぶやき】両手バックハンドで、インパクトの瞬間、ラケット面に力を入れるコツがわからない。そこがわかれば、大ぶりせずに飛ばせる。フォアハンドではできてるんだから、やり方があるはず。

中本速
1か月前
1

【心の詩歌】【公開記事】短歌と表記 漢字と平仮名

短歌において、漢字と平仮名はバランスが取れているべきでしょうか。 私はよく、あなたの短歌はバランスが取れていると言われます。 だいたいにおいて、外来語はカタカナ、…

中本速
1か月前
1

新幹線で、前の席がおじいさん。そのペットボトルが後ろに落ちてきたのだが、声をかけても気づかず、仕方ないからペットボトルを戻してあげたら、落としたことにも戻ってきたことにも気づかずそのまま飲み始めた。隣のおばさんが笑いをこらえていた。

中本速
1か月前
2

【心の詩歌】短歌の韻律について考える その六 韻律の「弱さ」に着目する

私達はふだん言葉を使う際、韻律のことを忘れています。韻律は、意味のある言葉においてはすぐ力を失います。弱いものです。「イヌ」や「ドッグ」はブーバ・キキ効果を持ち…

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1か月前

【心の詩歌】短歌の韻律について考える その五 はっぱふみふみ

岡井隆『現代百人一首』がとりあげた、韻律の良い短歌があります。 1969年、万年筆のコマーシャルに使われた言葉を、大橋巨泉の短歌として岡井は取り上げました。 こ…

中本速
1か月前
【心の詩歌】廃刊のお知らせと感謝

【心の詩歌】廃刊のお知らせと感謝

定期購読マガジン「心の詩歌」は8月をもって廃刊とします。
ある程度文章を書いたこの七ヶ月のあいだに、再度、実作に力を込めたい気持ちになりました。
「実作に優る批評なし」というのは、きょう突然頭に浮かんだ言葉です。すでに誰かが言っていそうな気もします。

批評は時に必要かもしれません。
本当の批評性はしかし、私の信じるところでは、詩歌そのものに宿ります。

今年の一月からテニスをやっています。
テニ

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【心の詩歌】油断したい、させられたい

【心の詩歌】油断したい、させられたい

詩歌でいちばん大切なのは「ともに油断する力」ではないかと思うことがあります。
特に短歌においては、あらかじめ同じ形式の作品と比較される運命にあるため、ストイックによりよい表現を求めてしまいがちですが、感情を揺さぶられるためにはこちらが油断したく思うのです。油断させてほしく思うのです。

詩歌は勝負ではないし、求道でもない。

人生や生活という現実があって格闘している人が、息を休める場所です。
こう

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ヒュー!日向 ヒュー!短歌、という短歌マッチング企画があってから、日向という文字から「ひなた」でも「ひゅうがこじろう」でもなく地名としてのひゅうがを思うようになった。というか、この企画のテーマソング、トクマルシューゴだったんだね(好きな曲があるミュージシャン)

【心の詩歌】結婚すると歌の心がわかるよと言われたら(その2)

【心の詩歌】結婚すると歌の心がわかるよと言われたら(その2)

前回書いた、「結婚すれば本当の歌の心がわかるよ」(穂村弘が書いた、別の歌人の発言)の話の続きです。

詩において作者の人生と作品は分かちがたい部分があります。
詩歌は短く、言葉は多くの人が簡単に使えるため、たとえば楽器を扱うのにくらべれば簡単に創作できます。
楽器だと、まずちゃんと音を出せるかどうかから入ることになるでしょう。

その簡単さこそ、詩歌の面白さをもたらしています。
長編小説を書ききれ

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【心の詩歌】結婚すると歌の心がわかるよと言われたら(その1)

【心の詩歌】結婚すると歌の心がわかるよと言われたら(その1)

穂村弘の文章に、歌人の特徴を書いたものがあります。「生命と自我の肯定」があると穂村は書きます。たとえばこんな感じです。

これらの親切さはある程度無遠慮な側面を持っています。
他人が目薬をさしてくれそうになったら、怖いです。
「まだ結婚しないの?」は、時代にもよるのでしょうが、無神経な親しさにも思えます。

しかし私がこの文章で取り上げたいのは、歌人の無遠慮さそのものではありません。
何が気にかか

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【心の詩歌】長崎平和祈念式典のアメリカ駐日大使不参加と短歌

【心の詩歌】長崎平和祈念式典のアメリカ駐日大使不参加と短歌

2024年8月9日に行われた長崎平和祈念式典には、その日付に原子爆弾を落とした当のアメリカから大使が参加しませんでした。
また、他のG7諸国やEUの代表も参加していません。
式典にイスラエルが招待されなかったことによる政治的な影響です。

政治的な影響があるのは仕方がありませんが、しかしアメリカの欠席は上の短歌を思わせました。
アメリカのこれまでの列席は、ほほえみながら言う謝罪のように、やはり政治

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友達を、とあるラーメン屋につれてゆくことを考えてワクワクしてきた

風上へ歩く。向かい風が吹く。気持ちいい顔が自分である。自分の身体は風の日陰を作っている。この「日陰」も自分のように思うのだ。

自分でいいと思える自分をやるのは、自分の襟首にぶらさがっているようで馬鹿馬鹿しい。

西巻真さんの文章、全体が正しいのかどうかはわからないが、書き手が何かをわかっていることが伝わってきて好きである。西巻さんは自分とかなり違うタイプの思考をすると思うが、それでいて読んでいて楽しい。
https://note.com/cocoatalk/n/nca903fe63fb0

ヘッダー画像を先日行った棚田にしました

【テニスつぶやき】両手バックハンドで、インパクトの瞬間、ラケット面に力を入れるコツがわからない。そこがわかれば、大ぶりせずに飛ばせる。フォアハンドではできてるんだから、やり方があるはず。

【心の詩歌】【公開記事】短歌と表記 漢字と平仮名

【心の詩歌】【公開記事】短歌と表記 漢字と平仮名

短歌において、漢字と平仮名はバランスが取れているべきでしょうか。
私はよく、あなたの短歌はバランスが取れていると言われます。
だいたいにおいて、外来語はカタカナ、漢字熟語は熟語、和語は選択の余地ありとしておけば、バランスを整えるのは実に簡単、かんたん。
でも、それが短歌の重要な腕前というわけではない。

もう少し実際的な話をしますと、明治の小説などを読むとやたら漢字が使ってあります。しかし、それが

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新幹線で、前の席がおじいさん。そのペットボトルが後ろに落ちてきたのだが、声をかけても気づかず、仕方ないからペットボトルを戻してあげたら、落としたことにも戻ってきたことにも気づかずそのまま飲み始めた。隣のおばさんが笑いをこらえていた。

【心の詩歌】短歌の韻律について考える その六 韻律の「弱さ」に着目する

【心の詩歌】短歌の韻律について考える その六 韻律の「弱さ」に着目する

私達はふだん言葉を使う際、韻律のことを忘れています。韻律は、意味のある言葉においてはすぐ力を失います。弱いものです。「イヌ」や「ドッグ」はブーバ・キキ効果を持ちません。しかし、それならば「意味を弱くすれば、韻律を前景化することができる」。

【心の詩歌】短歌の韻律について考える その五 はっぱふみふみ

【心の詩歌】短歌の韻律について考える その五 はっぱふみふみ

岡井隆『現代百人一首』がとりあげた、韻律の良い短歌があります。

1969年、万年筆のコマーシャルに使われた言葉を、大橋巨泉の短歌として岡井は取り上げました。

この短歌について、おそらくは実際にそういう批評があったのでしょう、「ここには形式だけがあって内容がない」という考えを仮想敵として、岡井は書きます。