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おもしろければOKか?現代演劇考

みなさんおはこんばんちは。
いかがお過ごしでしょうか。
最近下書きが解消されているのでちょっと嬉しい。・・・と思いきやいきなり貯めてしまいました。

今回は読書記録です。

前職を退職してから、大学時代の教授にもお世話になっているのですが、お家のテーブルにふと置いてあったのがこの本でした。

三浦基著『おもしろければOKか?現代演劇考』

私「先生、三浦基さんお好きでしたっけ」
先生「いえ全く」
私「何で買ったんすか」
先生「以前彼の(演出した)演劇を見に行ったことがあったんです、まあその時に義理立てとして買ったんです」
私「ほな別に買わんでいいでしょ(失礼)」
先生「でも読む気がしなくて、よかったらあなた、おもしろかった部分だけ抜粋して私に教えてください」
私「いやほんま何で買ったんすか」

というわけで読むことになったわけです。
三浦氏には大変申し訳なさすぎる理由・・・
三浦基氏といえば、劇団「地点」の主宰であり、演出家であらせられます。
チェーホフやドストエフスキーなどロシアの作家をよく演出してらっしゃるイメージですが、シェイクスピアやベケットを手掛けていらっしゃることもあります。

私が思うにおもしろかったところをちょこちょこ上げていこうと思います。第1章の「演出」での台詞についてという項目で、ベケットの『口』を題材に、究極にシンプルな台詞を際立たせるための戯曲かつ演出について、詳細に分析されており、ここでは先述の極めた部分と同時に舞台の限界についても語られます。

あとは第3章の太田省吾、ヨン・フォッセ、サラ・ケイン、チェーホフ、そしてベケットについての批評が掲載されています。
作品や各々の一生を含め、戯曲家たちを批評されていて、こちらも興味深いです。

あとは三浦氏の劇団での演出の仕方や戯曲への向き合い方、俳優への向き合い方等々が書かれています。
これは人によってとらえ方がありますので詳しくは書きませんが、ただ2010年の本ですので多少なりとも変わっているかもしれません・・・
ですが、俳優がどう言葉に向き合うべきか、海外上演・日本で上演する外国語演劇の「字幕」の在り方が演出家の目線で書かれています。

コロナ禍になり減りはしたものの、これからまた字幕を擁する演劇公演はどんどん増えて行きます。そこで、公演・言葉・演劇とどう向き合うべきか、の一考にしてみるのもいいかもしれません。

おもしろければOKか?
OKだと思います。

作者のもとめるおもしろさ、私が求めるおもしろさ、他人のおもしろさが違うだけで。

さおり。


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