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#130 早池峰の「注文の多い料理店」【宮沢賢治とシャーマンと山 その3】

(続き)

とあるきっかけから修験道に興味を持った私は、北上高地に鎮座する早池峰山が修験道の聖地だった事を知った。早池峰の修験道について調べている中、宮沢賢治と早池峰についての資料館である「早池峰と賢治の展示館」という施設が、早池峰のお膝元である花巻の大迫地域にあることを知り、足を運んだ。
 
大迫地域は、元々は大迫町という町だったが、平成の大合併の際に、旧花巻市と周辺の町とともに、現在の花巻市となった。花巻市の中では北東に位置し、東を「遠野物語」で有名な遠野市と接している。早池峰は、大迫地域の東部に位置し、隣接する遠野市にも跨っている、北上高地最高峰の山だ。
 
私は「早池峰と賢治の展示館」で、様々な展示物を見て非常に驚いた。
 
特に驚いたのは、「春と修羅」「注文の多い料理店」の初版本。2冊は同じ1924年、つまり今から100年前に出版された本だが、見たことのないような美品、まるで20~30年程度前に発行された豪華な復刻本のような保存状態の良さで、特に「春と修羅」は、クリーム色の下地に濃紺の模様が、全く劣化していないかのような美しさだった。
 
これは、大迫地域には当時無名だった宮沢賢治の価値を理解し、その本を大切に後世に伝えた偉大な人物がおり、その後も代々その本を伝えてきたということを示している。
 
その本の最初の持ち主は菅原隆太郎という大迫小学校長や大迫町長を務めた大迫の偉人だ。菅原隆太郎は、賢治と大迫を繋ぐ重要人物であると思われるが、詳しく触れると、話の本筋から逸れてしまうので、ここでは詳しくは触れない。
 
大迫と賢治が強く繋がっていたとするならば、展示されていたもう1冊の本「注文の料理店」についての謎も、少しずつ解き明かされていく。

【写真は、「早池峰と賢治」の展示館】

(続く)

2024(令和6)年 2月21日(水)

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