#188 信仰の百貨店・比叡山と賢治【宮沢賢治とシャーマンと山 その61】
(続き)
このように、宮沢賢治を父・政次郎が誘った比叡山の西塔とは、親鸞、聖徳太子、弁慶、摩多羅神など、様々な信仰が集まる聖地でもあり、天台宗の幅の広さを感じることができる場所でもある。
ここで政次郎が賢治に対して何を語ったのかはわからないが、賢治の日蓮主義に対する熱狂的な態度に変化をもたらそうとする場所としては、確かに相応しい場所であるように見える。伝教大師を記念する機会に合わせた偶然なのかもしれないが、政次郎にとっては、やはり千載一遇の好機として思惑があったのではない