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中学生のときに書いていた小説?が出てきたので投稿します。あえて何も書き変えていません

「ただいま。」

恐る恐る靴を脱ぐ。震えながら部屋に入る。すると突然、母におもいっきり髪を引っ張られた。「なんで帰ってきたの。」その一言で侑里は頭が真っ白になった。「ごめんなさい……。」侑里は消えいりそうな声でそう言った。


侑里には、親から愛された記憶がない。侑里は、誰かに存在を見て欲しかった。辛さに気付いて欲しかった。そんな思いから、問題行動を起こすようになった。授業を受けなかったり、リストカットをしてみたり。でも侑里の親は、怒ってくれなかった。侑里のことを見てくれなかった。その事実が悲しかった。やっぱり私は愛されていないんだ。侑里はそう思った。

でも、先生や幼馴染みは違った。問題行動を起こす侑里を見捨てずにちゃんと受け入れ、その上でたくさん叱ってくれた。幼馴染みも話を聞いてくれた。侑里はそれだけで、生きていていいんだと思えた。

侑里は、幼馴染みの家に泊まらせてもらうことで親の暴力から逃げていた。


「美広、お前はいい子でいないとだめだ。なんの取り柄もないんだから。」

親に何度も言われた言葉。

美広は同じクラスの侑里が羨ましかった。

何をしても誰にも見捨てられず、友達も多い。

たくさん構ってもらっている。

なんだかズルいと思った。

美広は"いい子"として15年間生きてきた。

厳しい親の期待に応えようと、勉強も運動も人の何倍も努力してきた。

人の悪口も言わず、いつも笑顔を絶やさないでいた。

でも本当は"いい子"を演じることをやめたかった。

学校でも家でもいい子を演じ続けるのは、正直もう限界だった。

こんなに辛い人生なんて、やめてしまいたかった。

でも、いい子を演じることをやめたら、自分の親は絶対に許さないことを美広は知っていた。

親に見捨てられたら、自分の価値はなくなる。

それが怖かった。

なにも考えずに好き放題やっている侑里をみているだけでも苛ついた。

でもそんなこと思っちゃダメ。

いい子でいなきゃ。

そう自分に言い聞かせた。


家にいたくない侑里は、今日も朝早く中学校に登校した。

すると、同じクラスの男子、塁が教室の方へと走っていくのが見えた。

珍しいな、塁が急いでいるなんて。

そう思いながら下駄箱へ行くと、中に1枚の折り畳んだ紙切れが入っていた。

紙を開くと、そこには乱暴な字で「死ね」と書いてあった。

胸が裂けるように苦しくなってじわじわと痛み、涙が溢れてきた。

「どうした?」

先生に声を掛けられた。

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