『養花天』(オリジナル短編小説)
決心は、決まって風に揺らぐ。
揺られる度に、また、ぼんやりと誤魔化しだす。
心を覆うのは、いつだって養花天。
まるで、フィルターが掛かってしまった私の意思みたい。
いつかの春は、晴れやかなはずだった。
いとも残酷なこの世界で、微かにさえ動き出せないでいるのは、紛れもない私。
韶光へと踏み出して、まだ覚束ない私の足。
零れ落ちそうな涙を拾い上げるように天を仰いでしまう。
どうしようもなく繰らみだす視界。
抗うほどに、酔ってしまう自分。
私は慌てて目を閉じた。
幾度も訪れる困難