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高校生活事件簿 「風林火山の書」編

何にも無いド田舎の高校に通っていたが、そんな中でも
数奇な事件が色々起きていたので供養代わりにここに記しておこう。
フィクションの奴も有るかもしれないので詮索しないでください。


入学早々、「ハイスクールライフのエンジョイ権を放棄するに等しい」と噂される拳法部に入ってしまった。まあなんと言うか、何はなくとも五厘刈り。

辛すぎて辞めたい時期もあったんだけど続けていって、
入部して数ヶ月経った頃に、どこからか部に伝わるという秘伝の書ビデオの噂を聞いた。

「その内容を習得すれば、無敵監督(まあいわゆる先生ね)に勝てるらしい」

監督はヒゲゴジラでソウルダンサー、得意技はロボットダンスという隙のない40代筋肉盛りで、乱取り(組み手、と言った方がわかりやすいか)でも全く歯が立たないのであった。
俺らどころか3年生の先輩まで。

そんな監督に勝てると言われたら探すでしょう男なら。

しかし、部室じゅう探せど探せど見つからない。
きっと危険すぎるので失われてしまったのだ。
3年の先輩に聞いてもなんだかモニョモニョと口ごもりかわされてしまう。

「ちくしょう。やはり強くなるには地道な努力しかないんだろーが。期待させんな!」

あきらめてから数週間、同級生のT君が有力なVTRを持って来た。
「裏が手に入った。お前に預ける。確認次第、そちらで処分してくれ」
奴は若くしてT村でも有力なビデオブローカーのようで、色々と融通をしてくれていた。
そう、俺も性欲爆発~成熟期を迎えた男子高校生の正常な欲求として裏ビデオを欲したので彼に頼んで入手してもらったのた。
当時はいわゆるクオリティの高い裏モノは中々流通せず、彼も入手には随分と苦労したらしい。
俺は同級生部員の士気を高めるため自宅で鑑賞会を開く事にし、集合をかけた。

「ワレ秘伝ノ書入手セリ、土曜ノヒトロクマルマル時ニ集合セヨ」

定時に同級生が俺の部屋に集合する。
「これより上映を開始する」
全員の背筋が伸びる。
再生ボタンを押すと、しばらくのノイズの嵐の後に

とある国の部隊の男性同士が
激しく交わっている映像が映し出された。
モザイクは無い。
全員絶句して90秒ほどが経過する。

U「ちょ...」
M「おま...」

俺「まて。Tは明日ボコるとして、これをどうする。
  こんなものが親に見つかってみろ。俺は人生終了だ。」

H「お前が責任を持って処理せよ。我々は撤収する。」

全員が帰宅し、
一晩考え、
俺は、
部室の床下収納に
そのビデオテープを封印した。
ラベルには
「風林火山の書」
と記した。

半年後、なんとなく気になって

その収納を開けると

ビデオテープは消えていた。

THE END

風林火山とダンスマン監督ヒゲ


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