今回は、「孤独」というものを肯定的に捉えるために、『孤独の価値』(森博嗣 著 幻冬舎新書)を取り上げてみたいと思います。
先日、『孤独になると結果が出せる』という本を取り上げながら、社会的孤立ではない、創造性に関わる「孤独」について述べましたが、
一言に「孤独」といっても、ときに社会問題とされる社会的「孤立」や、政治的判断によって分断を強いられ、つながりが失われることと、自分自身が孤独を主体的に選び取ることは、同じではないのだと思います。
一般的に「孤独」は、「寂しい」ことがつらい/悲しいと感じる理由から、ネガティブなイメージがつきまといますが、「孤独」は自分自身が主観的にどう捉えるかによって、意味や価値が変わってくるように思います。
たとえば、小説家で工学博士の森博嗣氏は『孤独の価値』(幻冬舎新書)のなかで、以下のように述べています。
そして、「寂しいと感じること、孤独だと感じることを、あってはならない「悪い状況」だと判断してしまう」ものですが、
と述べています。
そして、
と説明しています。
さらに、
としつつ、
と述べています。
では、孤独に積極的な価値を見出すにはどうすれば良いのかと言えば、たとえば、寂しさが気にならなくなるくらい、(詩、絵画、音楽、小説、漫画などを)創作したり、自分の好きな研究に没頭したりすることが挙げられます。
このことに関して森博嗣氏は、
「創作、研究、無駄な行為、というものが、孤独を受け入れる、あるいは孤独を愛するための手法」
であるとし、
「無駄なものに価値を見出すことが、その本質であり、そこにこそ人間だけが到達できる精神がある」
としています。そして、
と述べています。
しかし、だからといって他者とのつながりを自ら断っても良いというわけではなく、「良質な孤独」とは、社会生活を送るうえでつながりも大切にすることであり、このことは「社会との共生だといっても良い」のです。
今回は「孤独」というものを肯定的に捉えるために、『孤独の価値』(森博嗣 著 幻冬舎新書)を取り上げました。
本書は、ネガティブなイメージがつきまとう孤独について立ち止まって考え、孤独に積極的な意味や新たな価値を見出すために、おすすめの一冊です。
お忙しい中ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます😊