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孤立ではない『孤独になると結果が出せる』理由とは?

近頃、『孤独になると結果が出せる』(茂木健一郎 著 廣済堂出版)という本を読み終えました。

私自身、若い頃からずっと<孤独>と親和性が高い人間であると思い込んでいるのですが、「孤独」といっても、社会的孤立を余儀なくされることと、自分自身が自ら孤独を選び取ることは違うと常々思うのです。

また「孤独」である時に、独りであることを寂しくてつらいと感じるか、一人になれて自由だ! 創造性を高めるチャンスだ、と思えるかどうかは、それぞれの主観に委ねられているようにも思います。

『孤独になると結果が出せる』

この『孤独になると結果が出せる』の「はじめに」のなかで脳科学者の茂木健一郎氏は、

 孤独な人は、一人ぼっちでも仲間はずれにされているのでもなく、自分に向き合って内にあるものを追求していきます。

 孤独な人は、マインドフルネスで、自分の中にある小さな幸せに気づいているので、いつも満たされています。

 孤独な人は、周りのことを気にせずに、好奇心の赴くままに行動できます。

 孤独な人は、自分の頭で物事を考え、行動を報酬化することによってイノベーションを興します。

としたうえで、

 そういう面があるからこそ、孤独な人は、いつの時代にも、社会を大きく変えていきます。

 孤独とは、ネガティブなものではありません。むしろポジティブで、積極的に選ぶべきものです。

と述べています。


さらに「第2章 脳が孤独を求めるわけ」では、「孤独」という日本語に対応する英単語には、

  • ロンリネス(loneliness)……「一人ぼっちでさびしいこと

  • ソリチュード(solitude)……「単に一人でいること

  • アイソレーション(isolation)……「孤立」

があるとし、

 多くの日本人が孤独を否定的なニュアンスでとらえるとき、頭に思い浮かぶのはロンリネス、いや悲観的な人にとっては孤立(アイソレーション)のほうなのではないでしょうか?

 孤独(ソリチュード)と孤立(アイソレーション)は、似て非なるものです。

と述べています。

そして、

 私が結果を最大化するうえで欠かせないと考える孤独とは、孤立のさびしさやつらさとは無縁な、自由な状態です。孤独は、不運にして追い込まれる不幸な境遇ではなく、自らの意思で選び取ることができる境地です。

としています。


また、

  • 「人間は本来、好むと好まざるとにかかわらず、誰もが孤独な存在

  • 一人ひとりの脳が各人固有のものであり、ほかの人とは断絶している」

  • 人間にとって、孤独はディフォルト

としたうえで、「孤独を選ぶこととは、自分の人生を他人任せにせずに自分で引き受け、自ら切りひらいていこうとする覚悟と、言い換えてもいいでしょう」と述べています。


孤独になると結果を出せるわけとは?

では、孤独になるとどうして結果を出せるのでしょうか?

このことに関して、茂木氏は以下のように述べています。

 私は「孤独とは、脱抑制して結果を最大化できる環境である」と考えています。

 そして、結果を出すには、まずアウトプットするという行為が欠かせません。

 アウトプット、すなわち出力とは、一般的には、インプットし、自分が身につけてきたものを発揮する行為です。

 もう少し詳しく言うと、アウトプットとは、脳の中にインプットしたものを惜しみなく自分の外に出すこと。脳の中にしまい込んでいたものを目に見えるカタチにするのが、アウトプットです。これがしっかりできれば、結果を出すことが容易になります。

茂木健一郎『孤独になると結果が出せる』 廣済堂出版 73頁


ちなみに「脱抑制」とは、「無意識を意識のコントロールから解き放つこと」であり、この「脱抑制」は、普段は隠れている本当にやってみたいことに気づくという、「自分の本当の欲望に気づくために必要」であるといいます。

また「脱抑制は、それまで気づかずにいた自分自身を知ること」にもつながり、さらに「無意識を解き放つ」ことは、創造性を高めるために必要であるとしています。

そして「その脱抑制を可能にしやすい環境が、「孤独」」であるというのです。

そのような「孤独」とは反対に、「自由な発想をのびのびと羽ばたかせる」のに邪魔になるのは集団における「同調圧力」であるといいます。


 アウトプットをうまくするためには、言い換えれば、脳の中にインプットされたものを余すところなく外に出すためには、脱抑制ができなければなりません。無意識を解放することでプレゼンやスピーチといったプレッシャーがかかった場面でも身につけた知識やスキル、経験を自然にアウトプットできるようになります。

 そのアウトプットを最大化するのが、孤独でいるときです。何も山小屋に行って籠もる必要はありません。シンプルに言えば、無意識を解放する環境をつくること。

 職場の煩わしく面倒な人間関係から一歩距離を置いて、つかず離れずにいること。やりたい仕事を、上司に干渉されずに遂行できるポジションをつくること。過度にプライベートを詮索されないつき合いを続けること……。

 同調圧力をスルーしつつも、孤立しない。そして結果を出す。それができるのが、理想とする孤独の環境であり、アウトプット、ひいては仕事の結果を最大化するために必要なことです。

茂木健一郎『孤独になると結果が出せる』 75‐76頁


今回ご紹介いたしました『孤独になると結果が出せる』(茂木健一郎 著 廣済堂出版)は、社会的孤立ではない、創造性を高めるための「孤独」に関心がある方にオススメの一冊です。

お忙しい中ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます😊


茂木健一郎『孤独になると結果が出せる』 目次

第1章 空気を読んでいては結果は出せない
第2章 脳が孤独を求めるわけ
第3章 孤独には効用がある
第4章 なぜ孤独な人は結果を出せるのか
第5章 孤独を楽しめない人は伸びない
第6章 孤独を楽しむ5つのレッスン


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