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【ぐるぐる思考】や「後悔」による<うつ>な気分には、マインドフルネスで対処する。

気分が落ち込むとネガティブな考えばかりがどうしても浮かんでくるものですが、では、どういう時に気分が落ち込むのでしょうか?

私自身の経験では、疲れすぎている時です。

それではどういう場合に疲れすぎてしまうのかといえば、からだの声を聴かずに無理しすぎたりして、エネルギー不足に陥っている時です。

したがって、疲れすぎて気分が落ち込んでいると感じたら、「あれもしなくちゃこれもしなくちゃ」と無理せずに、十分な休息を取ることが大切だと思われます。


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特に、「うつ」な気分になりやすいのは、真面目すぎる性格である場合が多く、責任感も強いために仕事などでつい頑張りすぎてしまう一方、こまめに休憩したり気分転換したり羽目を外して遊んだりすることがなかなか出来ないのではないでしょうか?

この「エネルギー不足」ということに関して、

「抑うつの特徴は、エネルギーの喪失ということである」

と、アメリカの精神科医アレクサンダー・ローエン氏は『うつと身体』(春秋社)のなかで述べていますが、体の臓器の中でも「脳」は全体の約20パーセントのエネルギーを消費するといわれているため、「エネルギー不足」という観点からは、いちいち考えすぎてしまうことも問題であるように思います。


また何も考えていなくても、脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)が働いているため、頭を使っていないつもりでも脳はエネルギーを消費しているということが、近年の研究で分かってきています。


考えすぎや「ぐるぐる思考」がエネルギーを消耗させる理由とは?

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些細なことを気にしすぎたり、余計なことを考えすぎたりする自動思考を繰り返してしまうことも、エネルギーの消耗につながります。

このことに関して、『うつ病をなおす』(講談社現代新書)のなかで、著者の野村総一郎氏は、

「仕事をするのがつらい」→「休みたい」→「休むと後で仕事がたまる」→「がんばるしかない」→「つらくなる」

というループを「うつ病的「ぐるぐる思考」」だとしていますが、自分だけで解決することが難しい問題に対して、出口が見えないまま、同じ思考パターンを延々と繰り返すことは、かなりのエネルギーを消耗してしまう原因になると考えられるのです。


たとえば気分が落ち込んでいる時に、友人や先生、会社の上司が放った何気ない言葉に傷ついたり、腹が立ったりした場合には、どうしてもその「ひとこと」が気になってしまい、わたしが何かしたのか、ああいうことを言ってきたのは悪意なのか、もしかしたら自分は嫌われているのではないか、といったように、ネガティブな結論に向かうような推測を自分の頭の中だけでしてしまいがちになります。


ですが、その理由を相手に問いただしても、明確な意図があったとは限らず、たまたまその時、虫の居所が悪かったからかもしれませんし、それどころか、相手は自分が言ったことすら覚えていないという可能性も考えられるのです。

つまり、自分の頭でいくら理由を推測したとしても、その真実は自分の想定とはかけ離れている場合の方が圧倒的に多いのです。


このことは、過去の出来事に対する後悔についても同じです。

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私自身、昔から過去の出来事について後悔しやすい性格でしたが、「後悔」に関しては、あの時ああしていれば、今とは違う人生になったのではないか、といったことや、(詐欺に遭遇した場合などに)あの時どうして自分はAではなくBという行動を取れなかったのだろうか、などと、ぐるぐると考えながら、自分を責め続けてしまいます。


ところが、結果的には後悔することになっても、その時は、他の選択肢があったことを知らず、限られた状況のなかでは、その行動を選択することがベストだったはずなのです。


マインドフルネスで考えすぎによるエネルギー不足を防ぐ。

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では、考えすぎることでエネルギーが消耗してしまうのを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?

性格的に何でも考えすぎてしまうというのであれば、その性格をすぐに変えるのは難しいですが、飛び火するように次から次と様々なことを考えすぎてしまうのを避けるためには、「今・ここ」という瞬間を意識することが効果的です。


これはマインドフルネスの技法と同様ですが、具体的には、ぐるぐると考え始めてしまったら、そのことで結果的にネガティブな気分になる前に、

「思考、思考、思考」

「雑念、雑念、雑念」

「妄想、妄想、妄想」

といったようにラベリングして対処するということです。

もし何かをきっかけにして、過去の心の傷によるイヤな記憶が突然浮かんできた場合は、ただ「記憶、記憶、記憶」とだけラベリングしてみてください。


大事なのはぐるぐる思考やネガティブ思考に気づき、受けいれること。

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大事なのは「あ、ぐるぐると考えすぎてしまっているな」と、気づき、そしてその「ぐるぐる思考」や、ネガティブな考えばかりをしてしまう自分の状態を否定せずに、そのまま受けいれることです。

そして、そのことに気づいたら、「思考、思考、思考」といったように、今の自分を観察し、ラベリングすることで実況中継していきます。


しかしマイナス思考にとらわれている自分を「ダメなやつだ」と否定してしまうと、そのことがネガティブな方向へと傾くきっかけになるため、自分が考えすぎていることに気づいてラベリングが終わったら、今度は「呼吸」に意識を向けてみてください。


「思考に気づく」(きっかけ)→「ラベリングする」(行動)→「呼吸を観察する」(報酬)

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ちなみにチャールズ・デュヒッグ『習慣の力 The Power of Habit』のなかでは、習慣の3つの要素として、「引き金」「ルーチン」「報酬」が挙げられていますが、もし「ぐるぐる思考」や「ネガティブ思考」が起きたら、そのことをきっかけ(引き金)にして、「ラベリング」(ルーチン)し、さらに「今・ここ」にある呼吸に気づき(報酬)、観察することを習慣にしてみるのです。


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・引き金・・・「脳に自動作業モードになるように、そしてその習慣を使うかを伝える」

・ルーチン・・・「きっかけに反応して起こる慣例的な行動や思考」「身体的なものだったり、脳や感情に関わるものだったりする」

・報酬・・・「ある具体的なループを、将来のために記憶に残すかどうか、脳が判断する役に立つ」

(チャールズ・デュヒッグ『習慣の力 The Power of Habit』 渡会圭子 訳 講談社)


この「思考に気づく」→「ラベリングする」→「呼吸を観察する」という方法は、いやな出来事に遭遇して不快になったり、気持ちがイライラしたりモヤモヤしたりした時にも有効です。

エネルギー不足による気分の落ち込みや「うつ」を防ぐために、気になる方は実践してみてください。

ちなみに、もしただ呼吸に気づくのが難しいというのであれば、お腹や胸の辺りに手を当て、手のひらから体の動きを感じることで、呼吸をしている今の自分に気づいてみてください。



ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


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